14MHz 18MHz 21MHz 24MHz 28MHz の 5バンドで使用可能な 複合ループアンテナを製作した。
写真を見て「どこかで見たような・・」と、思った方、そう、これは以前地デジの自作アンテナネタでちょっと紹介したもののHFハイバンド版である。・・てゆうか、設計はこちらの方が先。地デジ版の方がこの複合ループのUHF-TVバンド版なのだ。
JA7KPI/7のHFハイバンド用(マルチバンド)アンテナといえば、ダブル逆Lだった。ダブル逆Lは18MHz以外のバンドではアンテナチューナに頼らざるを得ない。
しかし、この複合ループの設計コンセプトは、「アンテナチューナもトラップも無しで5バンドにQRVできる」ことなのであった。
さて、このループアンテナは、横7.68m×縦4.55mという長方形タイプ。左の写真を見ればお判りかと思うが、ループの中にさらにループがある。中のループは、横2.04m×縦3.43m。つまり複合ループ*1である。
詳しい寸法は、データファイルを見ていただくとして、上下のエレメントの材質は、アルミのLアングル。これは昔作った14MHz用Hヘンテナのパーツだったもの。3cm+3cmのものと、3cm+1.5cmのものを継ぎ足している。14MHz用デルタループのときは1本だけだったが、今回は晴れて2本とも使うことができた。*2*3
給電は、もちろん下のエレメントの中央から。ここはポリエチレンの「まな板」を流用して絶縁クロスマウントとしている。給電点のギャップは1cm。このまな板は、100円Shopで買ってきた物で、HF用としては厚みと強度がイマイチなのがちょっと不安。
また、タテとヨコのワイヤは、よくある1.6φの裸銅線。タテの4.55mの線4本の上端から1.12mのところに陸軍端子をハンダづけし、これでヨコのワイヤを固定するという仕組みである。
写真はテンションが低くなっていて、ワイヤがフニャフニャになっているけど、SWRが不安定になるなどということはなかった。(たぶんね ^^;)
ちなみに、このヨコのワイヤがもし無ければ、構造も見た目もスッキリするのだが、シミュレーションの計算では、周波数特性的にはかなり悪化してしまうことになるため、設計からは外せなかった。
なお、本アンテナの給電は、450Ω→50Ωのインピーダンス変換+バランを介して行っている。このバランの特性については、2.7kΩのカーボン抵抗6本を並列にしたもの(=450Ω)とアンテナアナライザにより、1.8〜50MHz帯で SWR<1.2 であることを確認してある。
というわけで、気になるSWR特性は、以下のとおりである。
Freq. | SWR simul | SWR real | Freq. | SWR simul | SWR real | |
14.05 | 1.82 | 2.0 | 24.90 | 1.81 | 1.8 | |
14.34 | 1.69 | 1.8 | 24.96 | 1.79 | 1.8 | |
18.08 | 1.32 | 1.0 | 28.05 | 1.68 | 1.3 | |
18.13 | 1.32 | 1.0 | 28.50 | 1.79 | 1.5 | |
21.05 | 1.93 | 1.6 | 29.00 | 1.95 | 1.6 | |
21.40 | 2.02 | 1.7 | 29.50 | 2.16 | 1.7 |
MMANAによるシミュレーション値と微妙に異なっているが、傾向としては同一だ。SWRが2近いバンドもあるが、そこは笑って許して(^_^;)。
実は、もっと複合化することで、周波数特性が改善されることは解っている。しかし、実際に製作し、組立、設置することを考えると構造は単純である方が良い。まして、今回のアンテナは移動用という位置づけである。
この表に掲載した以外では、50MHzで実測SWR=3、52〜53MHzで2、また、10MHzでは、SWR>3なのだが Rig内蔵のATUでチューン可、さらに7MHzも内蔵ATUでチューン可でQRV可能なことが判った。つまり、5バンドどころか8バンドOKなアンテナだったのである。ただし、1.9MHzと3.5MHzでは内蔵ATUではチューンがとれなかった。
7/21 追記 設計外のバンド(14〜28以外のSWRが高いバンド)では、連続して送信するとバランがかなり発熱するので要注意。最悪 焼損。下の記述 及び 7/19 の追試記事、7/26 の追試記事を参照のこと。
本アンテナは、金曜日の夜から製作に入り、他のことをやりながらウダウダと作業を続けた。
日曜日の朝にほぼ完成したものの、自宅では全体を組み立てることができないため、八峰町高峰山 04008I/QN00BHに移動して最終組立を行い、SWRを計測。
SWR特性的には、ほぼMMANAによるシミュレーションのとおりなのに気をよくして、24MHz/CWでCQを出したのだが、国内CONDXはイマイチであった。しかし、しつこくCQを出し続けるうちにCONDXも持ち直したようで、そこそこ呼ばれることができた。
リクエストに応じて28MHzに上がると、CONDXも付いてきてくれたようで、大オープンを期待していた。
ところが、送信途中で突然SWRが上昇し、元に戻らなくなってしまった。このため、急きょQRTとなってしまったのである。
案の定、450Ω→50Ωのインピーダンス変換トランス+バランの巻線の被覆が一部溶けてショートしてしまっていた。このトランスは、トロイダルコアを3個*4使用しているが、そのうちのひとつだけが溶けている。
そして、よくよく巻線を見ると、溶けたヤツは、他のふたつよりも巻線のよじり具合が明らかに足りないのだ。これがコア発熱の原因か??*5 この件については、再度トランスを巻き直して再挑戦してみたい。巻線もテフロンとか高いヤツを使った方が良いかな??
しかし、このアンテナ、やはりデカい。組立は難しくはないが、Lアングル6本つないで、ワイヤ5本張って・・となると、お手軽とは言えんかも。むしろ、単なる移動用じゃないコンテスト用とか、あるいは固定用として見た方が良いような気もしているが、どんなもんでしょ。(^^;)
*1 複合ループ = Complex Loop だと思ってたら、実は Coupled Loop が正解みたい。
*2 そんなこと、どーでもいい・・と思ってるヒトはゴマンといるぞ。
*3 そんなにいるわけねーよ。(^^;)
*4 もちろん、コアの材質、巻線の材料は3個とも同じ。
*5 無関係? 出力450Ωなので、伝送線路は150Ωであり、よじりすぎない方が良いみたい。
*6 当初、アンテナの名前を"K5CL"にしようと思ったら、K5CLというコールサイン(局)が実在していたため変更することにした。
こちらモビホで平川市の十和田湖サイドからでした。<br>GWなのか強力でした。KPIさんが24で結構呼ばれだしてから<br>こちらも24でCQしましたが全然呼ばれませんでした。。。<br>それにしても巨大ですね。(^^)
今、気づいたのですが、アンテナを振ってみれば良かった!!<br>2エリア方面に向けていたつもりなので、ほぼサイドだったのです。<br>それはともかく、やはり巨大・・ですねぇ。<br>設計中は気にならなかったのですが、普通の14MHzクワッドより大きいしね(^^;)。
7/16交信分までのQSLカードを、7/17、JARLビューロゥ宛発送しました。