オールJAの記事で 『西南西からの「キュッキュッ」いうノイズ・・あれはいったい何だ!? 大陸から来ているのか?』・・と、書いたのだが、実はこれが 太陽光発電ノイズ だったのである。
サウンドノイズ音ファイル 1 → solar_noise_qjurqjur.mp3 *1 (50.19MHz USB)
このノイズ、てっきり夜も聞こえているものと思っていたが、実は日の出から日没の間*2しか出ていなかった。その入感方向から てっきり某国の新型OTHレーダ・・などと考えていたのだが、秋分過ぎてまで入感してるのは こりゃオカシイのでは・・ということで本腰を入れて探索を開始したのであった。
RIGのバンド・スコープで見ると、左図のようになっている。だいたい20~30kHz間隔で並んでいるが、等間隔ではない。
ずーっと同じ周波数で出ているのではなく周波数がフラフラ動く。規則性はなく、バンド内くまなく出てくれるので逃げ場がない。
信号強度は、アンテナ向けて*3 S4程度。十分強力だ。
ノイズをJT65-HFで見ると右図のようになり、200Hz毎に出ているような気もするが、はっきりとは判らない。
CWフィルタを使用することで影響を軽減できるが、帯域内に出現されると お手上げである。
50.196/50.212/50.238付近*4に濁ったキャリアがあり、キュルキュルノイズと同一方向でSが上がる。
探索の過程で ようやく昼間のみ出ていることに気がついたのだが、その後は早かった。Googleマップでノイズ方向を辿ったら、一発で太陽電池パネルを乗っけた家を発見できた*5のである。距離は約170m。方向は どんぴしゃでビーム方向と同一。*6
で、VX-8持参で そのお宅へ行ってみたのだが、築2年くらいのようだ。側面にベージュ色のパワー・コンディショナー*7が設置されている。これと屋根上の太陽電池とを接続するケーブルは見えない。配線は壁の中か。
ちなみに、パワー・コンディショナーにできるだけ近づいて VX-8のAMモードで50MHz受信してみたのが次のファイルだ。
サウンドノイズ音ファイル 2 → solar_noise_qjurqjur_vx8.mp3 (50.235MHz AM)
モード違いだが、シャックで受信できるノイズと同じものだろう。*8
この後、クルマの無線機(SSB)でも確認できた。念のため、他にノイズ出しているお宅がないか町内を くまなく回ってみたのである。結果、反応するのは当該宅のみ*9であり、ノイズ源が特定できたのである。
このお宅は、ほぼ総二階建てで屋根の全面が太陽電池パネルになっている。パワー・コンディショナーはDC/DCコンバータやらインバータのカタマリなので、動作原理上 多かれ少なかれ 必ずノイズの発生はある。
今回は、パワー・コンディショナー内部のノイズが太陽電池への配線に漏洩*10し、地上高10m程度のロングワイヤ*11アンテナとなって偶然にも効率よくキュルキュルノイズを放射しているものと推測。*12
50MHz以外の状況としては、28MHzでも弱いながらキュルキュルノイズが確認できる。ただし気になるのは ガサガサ・・というノイズの方だ。21/28MHzではキュルキュルノイズと同じ方向で一番「カラS」が振る。しかし、21MHzでは他のノイズと判別不能。その他の周波数帯では*13ノイズは検出できなかった。
なお、つい先日 ローカルの超OMさんのシャックでも同じノイズが受信できることが発覚。mapで あたってみると当方よりもノイズ源宅に近く、90m程度しかない。
50MHzのGPでは受信できなかったが、HFのビームで28MHzを聞いてみたら、なんと、KPIのシャックよりも ひどい状況だ。28MHzでもキュルキュルノイズがハッキリ聞こえる。ノイズの方向は北米方向で、ピッタシ問題のお宅を向いていた。*14
これで、ハンディ機での踏査、車載機での探索結果とあわせて、当該宅がノイズ源であるという確証が得られたのである。
ところで、太陽光発電ノイズなのだから夜間のノイズは まったくない・・と、思いきや、実は夜間も別のノイズが出ているっぽいのだ。
そう・・以前「LED防犯灯ノイズ」で、『西南西方向については どうしても見つけられず、この方向については家屋内部のLED常夜灯等 市のLED防犯灯ではない可能性があるものと考えている』・・と書いた あのノイズである。もちろんキュルキュルではなく、普通の連続ノイズだ。
このノイズは常時出ているわけではないが、キュルキュルノイズと方向が完全一致していることから「怪しい」と考えざるを得なかった。
夕方のスーパー買い出しや某お仕事の行き帰りには必ず当該宅の前を通るので気をつけていたのだが、日没とともにキュルキュルノイズが消え、しばらくは静穏な電波状態になるのだけれど、当該宅の住人が帰宅し、照明が点灯すると件のノイズが出る・・ような感じだ。
このことから、家屋内のLED照明にノイズを出すものがあるか、もしくは蓄電機能のあるパワーコンディショナーで夜間もインバータ等が作動しており、そのどちらかのノイズが屋根の太陽電池に接続されているケーブルに乗っているのではないか・・という推測が成り立つのである。
で、日没直後に当該宅に出向いてみると、確かにノイズは消えている。しかし、仕事帰りに当該宅に灯りが点いているのを確認できた場合、シャックでチェックしてみるとノイズが出ているのである。
しかしながら、毎晩チェックしているわけではないため、確証というところまでは到達していない。
しかし、もし推測どおりだとしても、フィルタを挿入するなりしてパワコン・ノイズと同時に対策することができる可能性はある。
というわけで、同じ町内*15のノイズ源宅を奇襲したのが9月26日(土)。いちおう経緯をまとめた簡単な文書を持参したのだが、先方は当然ながら怪訝な顔・・
施工業者名を聞くと、地元の工務店とかではなく、全国展開をしているそれなりに有名な業者だった。また、蓄電機能はないタイプとのこと。
業者に連絡して対策してもらってほしい旨をお伝えしたのだが、その業者の秋田市の詰め所からは その日のうちに電話があった。
曰く、影響は50MHzだけ?・・パワーコンディショナーの製造元は別業者であり、これから連絡とってみる・・とのことであった。
その後、28MHzでもノイズの確認ができ、また夜間のノイズも認められたため、文書化して9月30日にノイズ源宅の郵便受に投函。
この間いろいろあって*16、10月3日、施工業者側の担当者が変わり、「パワコンのメーカーとノイズ源宅と連絡を取り合って調査をする。時間がかかる可能性もある。また進捗あったら連絡する。」 と電話連絡があった。
しかし、それから1か月半程度経過しても音沙汰がない。
なにやってんかなー。問題は28/50MHzだけだし、トロイダル・コアにコイル キャンセル巻きして一発で解決するような気もするんだけど・・
この間にローカルの超OMさんのシャックでもノイズ確認できたため、11月16日、その旨を施工業者のWebサイト経由でメイル。
その日のうちに、今度はパワーコンディショナー製造元から電話があった。*17
「ノイズ測定用機材の準備をしているが、まだ見通しが立たない。一週間程度で測定日の特定が可能と思われるので、もうしばらく待ってほしい。」とのこと。*18
2015.11.20 追記:
再びパワーコンディショナー製造元から連絡があり、11月30日以降になるとのこと。なんか時間稼ぎされているような気もするが、当方としては結果的にノイズが止まってくれればいいので とりあえず自制。*19
長くなりそうなので、進展があれば稿を改めて書き込むことにする。
2015.12.11 追記:
本日、催促しようと思っていたら、再びパワーコンディショナー製造元から連絡があった。
建築施工業者と日程調整して年内に調査を実施し その結果は報告するが、年内に報告できるかどうかはまだ不明とのこと。*20
太陽電池パネルに雪が積もると なにもできないのでは? やはり時間稼ぎされているような気がする。だが、ここは ぐっと こらえよう。
To Be Continued ... 続 太陽光発電ノイズ...
*1 91秒あるが、長く聞いていると気分が悪くなるので注意。
*2 日の出の15分後~日没の15分前・・てな感じ。
*3 ウチのアンテナは 5エレなので、相当広い範囲・・ 170~310度で受信できてしまう。
*4 ただしQRHがあるので いつもこの周波数とは限らない。
*5 Google Map偉い! (^^;) 太陽電池パネルの枚数までハッキリ判る。ムセンのアンテナのエレメント数まで判るからなぁ・・
*6 実は もっと近い太陽光発電システムはある。ひとつは、距離約120mの県の某施設。屋上に巨大な太陽電池パネルが乗っているがノイズはまったく検出できない。優秀である。さすが県。もうひとつは距離約160mの某宅。太陽電池パネルは小さい。こちらは28MHzでキュルキュルじゃない連続ノイズが検出できるものの かなり弱い。50MHzでは検出できず、アンテナ方向もまったく違う。
*7 別メーカのOEMっぽい。
*8 AMラジオへの妨害もあるが、パワコンからある程度離れれば問題ないと思われる。ただし、隣の家には影響あるのでは??
*9 クルマで車道を走っていてもルーフサイド・ホイップで数十m先からノイズが確認でき、当該宅前でノイズが最大となるのですぐ判る。
*10 電力会社側のラインには高周波阻止のためのフィルタが設けられているらしいが、困ったことに太陽電池側にフィルタは無い・・というのがこの業界の標準仕様のようである。
*11 さもなければ水平ループ?
*12 そうじゃなければ 170mも飛んでこないだろう。
*13 144MHzでも
*14 21MHzでは やはりキュルキュルノイズは確認できなかった。GPよりも地上高のあるHFのビームで50MHzを聞いたらキュルキュルノイズを確認できたが、50MHzではビームパタンがメチャなので方向は判らない。
*15 ただし自治会は違う。
*16 いろいろ~ (^^;)
*17 まず、施工業者から、製造元から連絡させる旨を連絡すべきと思う。 (^^;)
*18 アナライザとかプリアンプとかアンテナとか・・ (^^;)
*19 業者名やら やりとりの中身を曝したいところだが・・ でも、そのうち公表するかも・・(^^;)
*20 自前の案件なら「年内に報告できるよう努力します」・・ と するのだが、正直なのか? それとも投げやりなのか?
頑張ってください。私の近隣のソーラーノイズは対策していただいたら消えました。 更に遠くのノイズ源を特定しないといけませんが・・・
消えたんですね。よかったですねえ。というか、消えるんですね。期待が持てます。(^^)
私も絶賛ノイズ源探し中です。<br>パワコンノイズは自宅から出てました。<br>業者に来てもらって調査用のDC・ACラインにフィルタを付けたところ止まりました。<br>ただし耳Sがあるので細かいオーダーを出すんだろうなぁ、と考えてます。<br>夜間にもノイズが出るのでまだまだ時間がかかりそうです。
そうですよね。DC・ACラインにフィルタを付ければ止まりますよね。<br>パワコンだらけになる前に、ノイズが出ることをPRし、フィルタ登載がアタリマエになるよう働きかけていかなければ・・と考えております。
自宅から30メートルくらいの距離ですが 休耕田を利用した大がかりのソーラー発電所があります。<br>4Khzごとのビート音とガサガサノイズが9プラスオーバーで入ります。<br>3月に発電業者に調査依頼をしましたが異常なしの回答ホント困ってます。<br>現在3.5Mhz 7Mhzを運用してますが夜間以外は運用困難です。<br>町内でソーラー発電所がずいぶん増えてます、業者に認識はないのでしょうね。
URW、生きていたのかー!! それはそれとして・・<br>ソーラー発電所も様々で、記事と同様のキュルキュルノイズが確認できたものもありましたが、まったくノイズがないものも確かにあります。<br>当家近所には某県の施設がふたつもあり、どちらもソーラー発電中のハズですがノイズは皆無で、しっかり対策しているものは それなりに低雑音なのでしょう。<br>7や3.5MHzだと、フェライトコアで止まるということは考えにくいですね。インバータの回路自体をなんとかするとか完全シールドしかなかったりして・・<br>法的には、電波法違反とか業務妨害は適用しにくいのかもしれません。やはり民法第709条を根拠に戦うしかないのかなぁ・・<br>でも、基本的には国が法律でノイズを規制するべきでしょう。<br>ソーラーノイズについては、後日また取り上げます。
KPIさん 数十年ぶりで!!紆余曲折を経て生き延びてますよ^^;)。<br>ソーラーの板ですので直接コンタクトできる手段を教えて下さい。<br>さて、ノイズですが以前「ドングル」をamazonで購入しスマホで30MHZ以上の周波数をSDRで発電システムのそばで観測しましたが高い周波数では強いノイズは見受けられませんでした。<br>元のスタンダード制広帯域受信機でHFを受信すると強力なノイズが自宅で受けてるのと同じく確認できました。<br>各メーカーの「パワーコンディショナー」によりノイズの出方が異なるようです。<br>相手先業者の名刺をもらいました、時間をかけて取り組もうと思います。<br>近い将来二度目の落成検査を受けたい希望もありますので。
よく考えたらここでも十分なやりとりが出来ますね ^^)。<br>現在、1.8Mhzのアンテナがこれもまた数十年前に撤去しておりありません。<br>どんなタイプのものが良いのかと思案中でした。<br>あとでご教授頂こうかなぁー。
コメントの書き込みについては、掲示板的な使い方はしていないので当方の書き込みテーマから外れるコメントはご遠慮いただいてます。また、1年以上前の記事にコメントすることはできません。<br>直接コンタクトできる手段・・まぁ、メイルでしょう。コールサインあとまぁくJARL.COMということで。ではでは~
ソーラー発電システムを運用する業者の担当者と話し合いをしました。<br>設置の際にメーカー側とノイズ対策について触れた結果、隣接する家屋が少なく未対策のままで良いと判断したと話してくれました。<br>メーカーも業者もはっきりとした認識があったようです。<br>結果、早急にノイズ対策の確約をしてもらいその旨を上司にしておりました。<br>上記内容から解決に向かうことになりそうです。<br>以上、パワコンノイズ顛末でした。
距離が近いのと周波数が低いのとでかなり苦労するような気もしますが・・がんばってください。当方も あと一歩という感じなので、がんばります。<br>とにかく「ソーラー発電システムが出すノイズがラジオの受信に支障になる」ということをPRしていかないと、あっという間にノイズだらけになってしまう可能性がありますから・・