アンテナへのトタン屋根の影響については、『トタン屋根の影響』『 トタン屋根の影響 2』と 過去2回 取り上げているが、今回は3回目。50MHzにおける現用アンテナへの影響について・・である。
MMANAで 一軒おいて隣の家の屋根から 160m先の屋根までのデータを作ってみた。自宅の家と隣の家の屋根については あまり影響ない*1ようだったので省略した。
屋根の並びは、実際の家屋の状況に合わせてある。
計算終了までは 1時間半以上かかってしまった。
電流分布を表示させると、160m離れた屋根にも けっこう電波が乗っている。
肝心の垂直面指向性は、左図の黄色で示したようになった。青は屋根のデータが無い普通の計算結果。
フロント・ゲインが落ちて、9度付近のNULLが埋まり、第一ローブと第二ローブが合体しそうな雰囲気である。たった7枚の屋根で これだけ違うってのは ちょっとびっくり。
ちなみに、赤は屋根データ無しで、地上高を屋根の高さである7mぶん落としての計算結果。やはり、屋根の数を増やしていけば 赤のパタンに収束すると考えて良いのではないか。
ということになると、MMANAでは 多くの家屋の二階屋根の高さである7mを差し引いた値を地上高に設定した方が実際のアンテナの打ち上げ角に近くなるのではないだろうか。
7mを差し引いた値がベストなのかは 定かではないが、周囲の・・というよりはフロント方向の建物の影響を考慮しない計算結果の垂直面指向性で実際の伝搬について考えるのは問題あり・・ということなのだろう。
ここらへんを研究した(日本語の)文献なんて、たぶん無いんだろうな。マイクロ波での直接波で第一フレネルゾーンとパワー確保できればOKっていう感じなんですかね。
7mを差し引いた値がベストなのかは 定かではない・・と、書いたが、それでは何m差し引くのが「ベター」なのか?
とりあえず、-4m~-7mまで1mきざみでシミュレーション結果を並べてみて、実際の使用感と比較してみた。
-4mだと、逆相での26度あたりはいいとしても、30度あたりのゲインが低い。
また、-7mだと逆に30度はいいが26度あたりがイマイチになる。
で、-5mか-6mということになるのだが・・
まあ、実際の周辺家屋に二階建て(高さ=7m程度)が多いのは事実だが、すべてが二階建てということではない。一階建て(高さ=4m程度)もある。もちろん道路や空地もあるわけだから、収束値として -5~-6mというのもアリかな・・と。*2
というわけで、ウチのスタックの下側の高さは 15.75mなんだけど、実際の飛びについて考察するときは、とりあえず -6mの 9.75mでのシミュレーション値を参考にするということで・・・
*1 ダイポールや 2エレ等 エレメントの少ないアンテナでは、アンテナの下に位置する自宅や隣家の屋根の影響は大きい ので 注意。
*2 アカデミックじゃないなー (^^;) ・・ MMANA-GALを使って、さらに多くの屋根をシミュレートすれば ある程度の 解 は 出せるのかな。