台風の季節。そーいえば、2004年の台風15号でルーフタワー吹っ飛んでから丸10年になる。
唐突だが、自宅にルーフタワーを立てて50MHzの7エレを上げた場合のトタン屋根の影響は いかほどのものであろうか? ・・なんてことを考え、MMANAでちょっとシミュレーションしてみた。
トタン屋根は、すだれ*1状のコーナーリフレクタをひっくり返したようなモデルで自宅の二階部分と南側の隣家二軒分を用意した。*2
50MHzのアンテナとしては、CL6DXX*3を想定し、4mのルーフタワーを使うとしてルーフトップから5mとした。
こう書くと簡単なようだが、すだれの屋根データを作るのはやはりちょっと苦痛だった。(^^;)
データできたらいよいよ計算となる。
自宅の屋根1枚なら すんなり計算終了するのだが、2枚 3枚となると旧い非力PCなものだから なかなか終わらない。
屋根2枚のパルス数は 6,724で計算終了まで53分。屋根3枚のパルス数は 8,075*4で計算終了まで83分かかった。
左図が計算結果。
赤で示したデータが地上高12.5mのCL6DXX。茶が同一地上高でアンテナの5m下に屋根がある場合。緑が隣家の屋根もある場合。青がさらに二軒隣の家もある場合。なお、屋根の高さ=7.5mとしている。
自宅の屋根1枚の場合は あまり変わらない*5という印象だが、2枚3枚と増えると垂直面指向性の打ち上げ角7度ほどのメインローブは少し振動。15度あたりのNULLは埋まる傾向。20度のサブローブはゲイン増加。35度のローブは減少。
水平面指向性の方は、若干ブロードになるようだ。
ちなみに、灰色で示したデータは地上高5mのCL6DXXを計算させたもので、これは実際の周囲の屋根をすべて計算させた場合と同等と思われる。屋根を増やしていけば、回りの地面が隆起したのと同じ・・けっきょく低いアンテナの計算結果に収束するというわけだ。
さて、上記のシミュレーションは前述のとおり4mルーフタワー想定だったのだが、2mルーフタワーで屋根上3mしかない場合はどうだろうか。
で、3枚屋根で計算させてみたら右図のとおりで、ちょっと悲惨な結果*6となってしまった。やはり単なる平面じゃないのがキモなのか。
そう考えると、近所の屋根は3枚だけじゃないという現実があるわけで、4mルーフタワーといわず、一波長・・6mものにしてしまうのが正解なのだろう。実は10年前KPIが上げていたのも6mルーフタワーであった。しかし、6mだとイマイチ安定性に欠けるような気がするんだよなぁ・・
あと、左図のようなデータも作ってみた。
しかし、家屋の隙間に沈んでいる単一指向性でないアンテナをシミュレートしようとすると、さすがに北隣の家の屋根を含めた周りの屋根全部をデータ化しないと納得いく計算結果は得られないようだ。*7
MMANA-GALのPro仕様だとメモリさえ許せば 最大パルス数 32,000まで可能とのことだが、通常版の8192では 3枚の屋根の計算でアップアップだ。*8
計算速度の問題もあり、新PCの導入をマジに検討しなければならぬようである。その昔、PC9801に浮動小数点演算コプロセッサを入れたときのことを思い出してしまった。*9
いや、こんな回りくどいことしないで、どどーーん とリアルで自立タワー建てちゃえばいいんですがね。簡単に建てちゃうのもおもしろくないんで・・・(^^;)*10
2015.02.04 追記:
現実の状況に近いトタン屋根6枚のデータを作成してみた。なお、屋根の配置/大きさともに現実の屋根に近づけてある。CL6DXXの高さは前と同じく屋根上5mである。
予想どおり横や後からの影響は小さい。電流分布を表示させてみたが、一番電波が乗っているのはやはり一軒おいて隣の屋根である。
指向性パタンでは、一軒おいて隣の屋根が若干右に寄っているためかメインローブが いびつになっている。
パルス数Exceedを回避するため、かなり甘い計算となっているのだが、傾向を把握することは なんとかできるようだ。
*1 すだれの間隔はいちおう λ/10未満に設定。
*2 面積と配置は実際の屋根に似せてみたが、あまり意味なかったかも。実際の高さは微妙に異なっているが、ここではすべて同じ高さとした。また、屋根の形状は すべて単純な切妻造、傾斜は約15度とした。(実際のKPI宅は入母屋造)
*3 クリエート・デザイン製。なんで7エレかというと、南北に向けた場合、ブーム長9mの8エレ(CL6DXZ)では敷地をはみ出し、モロ領空侵犯してしまうのである。(^^;) 昔から、実はハミ出るのでは?・・と疑ってたのだが、ついに確定してしまった。(^^;)
*4 DM2が80のままではパルス数Exceed(max=8192)してしまうので、67に変更して計算させた。
*5 7エレであり、もともと真下への放射は極めて少ないため自宅のトタン屋根の影響もあまり受けない。前方に位置するトタン屋根・・つまり指向性については隣家の屋根の影響の方が大きいという皮肉な現実・・(^^;) ただし、給電点インピーダンスについては自宅の屋根の影響が大きい。自宅の屋根からの反射波はモトのアンテナに戻ってくるからである。
*6 1エリアのEs専用か!?(^^;)
*7 というのは、現時点での計算結果と 現実の飛び/聞こえ具合に乖離があると認めざるを得ないのである。ただし、インピーダンス(SWR)の計算結果はかなり近づいていると思われる。
*8 すだれもホントはメッシュにしたいところだが、パルス数≦8192では とうてい不可能。
*9 ひと晩計算させて、起きてもまだ計算してる。仕事から帰ってきてもまだ終わらない・・とかね。
*10 もちろん、負け惜しみである。(T_T)