既報のとおり、シャックに新アンテナを上げてみた。
台風によるルーフタワー倒壊から11年、親父が亡くなって2年半・・ ま、いいとこだろう。
それでも なお制限は残り、隣家の敷地にハミ出さないためには、回転半径は 3.45m以下ということになった。3.45m・・となると、さんざんシミュレーションしたCL6DXX(4m)どころか、CL6DX(3.5m)でもダメではないか。*3
もはや選択肢は 回転半径2.6mの 5エレ、CL6A しかないのだ。*4
しかし待てよ。CL6DXの回転半径は3.5mで、わずか 5cm領空侵犯するだけではないか。タワー上の5cmの違いは、地上や二階から見ても認識できないのでは? ・・と、ズルする方向で検討・・ (^^;)
当然シングルでは勝ち目がないためスタックを考えるわけだが、5エレでも6エレでもゲインMAXを狙うのであれば スタック間隔は 6~7.6m程度は必要。
しかーし!! *5 そのようなロングなスタック間隔を確保するためには、マストから腕木を出して下側にサブのマストを出すしかない。これはかなり重荷であろう。
現実的には、マストを二重構造にして長さを稼ぐにしても、スタック間隔は MAX 5mといったところだ。
そこで、スタック間隔を 5m以下として MMANAでシミュレーションしてみると、なんと!! あろうことか CL6Aスタックと CL6DXスタックのゲイン差は たったの 0.1dBなのである!!!
けっきょく、長いブームの性能を引き出すためにはスタック間隔も広くしなければならないということで、逆にいえば、短いブームのアンテナは比較的狭いスタック間隔でも そこそこゲイン確保できる・・ のだろう。
と、いうことで、アンテナは CL6Aの 2スタック、そのスタック間隔は サブローブが小さくなる 4.5mと決定した*6。
なお、CL6Aは当然ながらCL6DXよりも受風面積が小さい*7。いくらマストが二重パイプでも それなりに長いので風による曲がりが心配である。コンマ以下のゲイン差なら受風面積の小さい方を・・というのも理由のひとつである。
なんにしても、これで 胸を張って「領空侵犯は してません!」・・と 言うことができるのであった。 (^^;)
さて、CL6Aの4.5mスタックと決定したのだが、ここからさらにMMANAで最適化を試みた。ベースをオリジナルのCL6Aとし、スタック間隔を4.5mに固定してエレメント長とエレメント間隔をいじってみるのだ。*8
その結果、第3導波器と第2導波器との間隔は少し広がり、第1導波器と輻射器の間隔は少し狭まることとなった。まあ、ブーム長はそのままなので気持ち程度の改善ではあるのだが。
もちろん、MMANAでの最適化は HF用の3エレ込みでおこなった。
21/28の3エレ(Nagara TA-10-15Jr.*9)の位置としては 50のスタックの中間が良いのだろうが、ここでもマストの強度を考慮して若干 下げることにした。
シミュレーションでは、3エレ/5エレスタック間の干渉は ほぼ無かったのだが、実際にアンテナが上がってみたら 50のアンテナで28MHzにおけるSWRが異常に良くなってしまっていた。
で、これはヘンだ!・・下の5エレが21/28の3エレと干渉しているに違いない・・ と、各アンテナの位置関係をチェックしたら、3エレの位置が低すぎることが判明。後日*10 修正することとなった。その結果、28MHzでSWRが良い状態は解消された。残念な気もするが、これでいいのだ。
下に MMANAシミュレーションによるビーム・パタンとSWR特性を載せておく。なお、SWRグラフ中、赤で示したものは実測値である。
21/28MHz3エレは、組立説明書にある共振周波数低めの「CW Set」で組み立ててある。
21/28とも、SSBのコンテスト周波数ではATUのお世話になるしかないと思われるが、まあ こんなものだろう。概して再現性の良いアンテナだと思う。
なお、SWRは雨天でも測定してみたが、雨に濡れるとSWR最小周波数が約100kHzほど低下する傾向にある。しかし、この程度ならまったく問題ないといっていいだろう。
なお、シミュレーションでは トラップ用のコイルのQを200として計算してみたが、どうも高すぎたようで、実測値をながめると Qは100程度のような気もしている。
50MHzの5エレスタックは、51.5MHzを超えたところからSWRは急激に悪化していく。
雨天でのSWRは、こちらも100kHzほど下がるようだが、やはり問題はないだろう。
なお、現在市販されているCL6Aは、輻射器がフォールデド・ダイポールとなっているが、CD社の6mロングジョンでかつて使われていた5C2VによるQマッチは廃止されており、給電部のプラスティック筐体の中に集中定数によるマッチング回路が組まれているらしい。*11
さてさて、アンテナの実力については まだ日が浅いので何ともいえないが・・ 5月8日(金)19時JST頃、アフリカ圏であるロドリゲス島の 3B9FRが入感。
JAとポツリポツリとQSOしていたようだが、CQを連発しだしたので呼んだら一発でコールバックがあった。直前にJT65やってたので交信時 当方の出力は15W程度だった。先方は559を送ってきた。ノイズは多めだったが、QSBのピークでは Sを盛大に振らしていたので こちらからは599を送った。
アフリカとの初交信は あっけなく終わったが・・ あぁ、アンテナ上げて良かったぁ・・ と・・ v(^o^)v
追記 → スタックの同相/逆相 切替
追記 → 5エレスタックのビームパタン
*1 Eu方向に鎮座するビルが だいたい20~30mなので。
*2 それだけ狭い敷地なのである。てゆうか、東西は長いが南北は短い。
*3 屋根の真ん中≒敷地の真ん中 なので、ルーフタワーならCL6DXXでもなんとかなるが、昔の倒壊事件もあり、50MHzをルーフタワーに載せるつもりはない。
*4 ナガラの5エレやF9FTの5エレは短すぎる!! と 思う。(あくまでも個人の感想です ^^;)
*5 声: 千葉 繁
*6 CL6A取説に記載されている推奨スタック間隔も4.5mとなっている。
*7 21/28の3エレも また短ブームなので、全体的にフロントよりもサイドの方が受風面積が小さく、冬の西北西の強風時も南南西に向けっぱなしにできる。
*8 現実的には 第3導波器、輻射器、反射器の位置は固定なので、位置については第1第2導波器のみ変化させた。
*9 TA-10-15Jr.の回転半径は、ぴったし 3.45m。トラップ部分は同軸構造になっており、MMANAデータ化がうまくできているとはいえないのが残念。ちなみに、心配でタッピングネジにテーピングした以外はメーカの組立説明書のとおり作り、いっさい手は加えていない。しかたないが、実に面白くない展開である。
*10 ALL JAコンテスト後(5月2日)。
*11 バラして見たわけではなく、CD社に問い合わせして得た回答+推測である。おそらく以前と同じ110Ω→50Ωの変換と思われる。なお、前のバージョンから変わったのはマッチング部だけではなく、エレメント長やスペーシングも変化している。それでも型番がいっしょなのは誤解を招くのでは? せめて枝番とか識別符号を付加すべきでは??
うんうん。短いブーム長のアンテナでゲインを欲張ってスタック間隔を広く取ると垂直面内にサブローブが出るので3/4λが適正でしょう。<br><br>長めのブーム長で同じスタック間隔だと総合ゲインは余り変わらないけど、元々水平面内のパターンはややシャープだから、その分、垂直面内のパターンがややブロードになる(つまりスタックの効果がやや小さい)。総合ゲインが同じで、水平面内のパターンと垂直面内のパターンのトレードオフな感じになりますね。<br><br>建てば歩めの親心、という感じですが、しばらく使ったら、こ上だけシングル、下だけシングル、同相、逆相給電の切り換えができればもっと楽しめるでしょう。
逆相給電への切替えができるよう 2本のケーブルで別々に引き込み シャック内で合成しています。切替システムは これから作ります。(^^)<br>3B9FRは連日の入感で驚いております。
流石、もうやってますね。降雪時にも上はカリカリですが下は静かだったり、結構面白いです。<br><br>3B9FRはJA6まではF2で、それより東はEs性でしょう。ホップの具合でJA7/8やJA1やJA2以西などに強く入るようです。<br>昔インドから5月にQRVしたときも、JA6~JA8がめまぐるしく入れ替わりました。<br><br>今日はこれからQRPスプリントのオールバンドに出ます。聞こえていましたらよろしく。