ZCR/bLOG


[Radio] 6 band Dipole

2010年05月10日 00時 更新

ようやく 6バンド・ダイポールアンテナができた。

でも、ハイバンドの国内CONDXは あまり良くない。

10-28MHz 6 band trap dipole antenna

さて、トラップ自体は昨年12月に完成*1していたのだけれど、雪や本業の大仕事のため、アンテナとしてまとめることが今までできなかった。

とりあえず、MMANAで作った基データをご覧いただきたい。

MMANA data file (基礎データ)
Trap-Ivee-hiband.maa ←適当にお使いください。*2

きわめて普通のアンテナだ。エレメント用ワイヤに 2φの裸銅線を使い、データファイルのとおりにコイルを巻けば、ほぼ同じ特性のアンテナができるはずである。

・・はずなのであるが、そう上手く事が運ぶかというと、MMANAファイルのとおりのコイルを作成することが ちょっと問題点アリ・・なのだ。

0.1μH程度の分解能のインダクタンス・メータがあれば、随時計測しつつ仕上げるという手が使えるだろうし、値の判っているコンデンサを接続してその都度 共振周波数を測っても良いのだけれど、はっきりいって面倒である。

で、MMANAの[表示]→[オプション]→[空芯コイル]の機能でコイルの巻数をある程度キメ打ちしてしまった。
しかし、これが後で響いてくるんだなぁ。

さておき、Motivationが高いうちにトラップを完成させなくては・・というわけで、以前書いたとおり 38φの塩ビパイプをボビンに、巻線は 1φのポリエステル銅線で とにかくひたすら家内制手工業に励んだのであった。

Band (MHz)2824211814
巻数 T668915
共振周波数 f028.224.921.118.114.1

各バンドのコイルの巻数と共振周波数*3は、左の表のとおり。巻き方は、基本的に密巻だ。

移動用アンテナとしてまとめるため、第一電波工業のバラン*4を使用。エレメント用のワイヤは 2φ古河ビーメックス線。*5
固定用のアンテナなら、硬銅線でもいいのだが、移動用なのだから ちょっと高価でも しなやかで取り回しが楽な方が良い。

ワイヤ長については、MMANAの計算結果では次のようになっていた。(片側)

     262              19    27    22     43       69 (cm)
◆-----------------□---□-----□----□------□------------
                   28   24     21    18      14 (MHz)

実際のワイヤは、比誘電率が約2.3の1mm架橋ポリエチレン被覆があるので、NEC2での再計算結果では次のように若干短縮された。

     256              17    25    21     41       66 (cm)
◆-----------------□---□-----□----□------□------------

これで、コイルが設計どおりであれば、ほぼ無調整でアンテナ完成!・・となるのでは?・・と、とりあえず計算値どおりで製作し、いそいそと近所の公園へ行って測ってみたら、これが ぜんぜんダメ。*6

トラップには手を付けず、SWRが落ちるようワイヤ長を調節*7してみたら、次の寸法に落ち着いた。*8

     266              12   17.5   12     33       60 (cm)
◆-----------------□---□-----□----□------□------------

・・ということは、コイルのインダクタンスが設計よりも大きめになっている・・のだろうか。これでは、インピーダンスにも悪影響があるに決まっている。

当初のMMANAでの計算では、すべてのバンドで SWR<2 のハズだった。しかし、実測では次のとおり残念な結果となってしまったのである。

Band(MHz)10.1314.0518.0721.0621.1524.928.0628.1528.5
SWR 1.1 1.8 2.5 2.2 1.8 1.7 1.51.41.7

10MHzと28MHzは ほとんど問題ないが、その他のバンドは明らかに高め。特に18MHzが悪い・・ということは、21MHzトラップのコイル*9のインダクタンスが設計値とかけ離れているのか。MMANA計算結果と現物の寸法のズレが一番大きいのもこの18MHz用のエレメントだ。

21MHz用トラップのコイルは 2T減の 6Tで、その他のバンドのコイルも それぞれ -1Tで製作されるべきだったのではないかと思われる。

しかしながら、この程度のSWRであれば、RIG内蔵のATUでマッチングがとれるため、実際には問題なく運用できるのである。
機会があれば、トラップの製作に再挑戦してみるつもりだが、とりあえず このまま使ってみることにする。

なお、このアンテナは 10〜28MHz専用であり、ひとつ下の7MHzや上の50MHzであっても ATUは まったく効かず、電波を出すことはできない。

もともと 50MHzのビームの下に取り付けてQRVするために設計したアンテナである。
HFハイバンド向けのマルチバンド・アンテナとしては、5バンド複合ループもあるのだけれど、50のビームと同時に使用することができないのはやはり痛い。
7MHzについては、まあ、後回しでいいや・・というスタンスなので、QRVできなくてもなんら問題はない。(^^;)


5/2 JCC#0411潟上市 梅の里公園 QM09AV

午後になってから 潟上市 梅の里公園(QM09AV)に移動。強風でマストはフルアップできず。
HFハイバンドの国内CONDXは やはり良くはない。ほとんどが10MHzでの交信。

18MHzでのDXは、RZ4(European Russia) と SP8(Poland)。どちらも向こうから呼ばれてのQSOだ。16:30で撤収。

band/area 12 3 4 5 6 7 890DXQSOs
10 4 4 2 3 1 14
14 2 2 1 1 6
18 1 1 2 2 1 2 9
total 1 6 5 4 7 2 13 29


ところで、CQを出す以前にTEST送信で14MHzに出たとたん、SWRが跳ね上がったまま元に戻らなくなってしまった。
さては接触不良かとトラップのビス/ナットを点検するも異常ない。

目を凝らして14MHzトラップのボビンの中を見ると、なんということだ。コンデンサ役の1.5C-2Vの端で放電したとみえ、黒く炭化しているではないか。これにより、コンデンサが短絡してしまっていたのである。*10

1.5C-2Vの網線を少し切り詰めて芯線を少し出してやり、エフコテープをちょっと巻き付けて再びエポキシ系接着剤で固定することで復旧。

動作検証はアナライザだけでは やっぱりダメで、実際にパワーを入れてみる必要があるということだな。


5/3 JCC#0406男鹿市 寒風山 PM99WW 向こうに見えるは回転展望台と警察無線(たぶん)の中継局

13時から男鹿市 寒風山(PM99WW)に移動。
お天気はよかったが、この日もひどい強風でマストフルアップできず。

band/area1 2 3 4 5 6 7 890DXQSOs
10 2 8 5 1 6 22
14 1 1
18 1 1 2
21 1 2 1 1 1 6
24 1 1 2
total 1 310 6 1 9 1 2 33


午前中、小規模ながらEsが出たので、盛り返しに期待していたが、国内CONDXは しぼむばかりだったようだ。
24MHzの1エリアは小笠原のJD1BLY。DXは2局ともアジア圏。この日も16:30で撤収。


5/5 JCG#04007/B

15時から井川町の井川堤防(QM09AW)に移動。
この日はおだやかな一日であったが、最初の1時間程度はあまり良くなく、アキラメの境地に入りつつあった。しかし、16時過ぎからCONDXが上がり、18〜28MHzで 2時間程度RUN。

井川町 井川堤防 QM09AW



band/area1 2 3 4 5 6 7 890DXQSOs
18 201411 4 2 4 3 2 60
21 9 511 3 4 2 12 37
24 4 3 7 2 2 1 19
28 7 8 2 1 2 1 1 22
50
total 403031 5 911 7 14 138

28MHzでのRUNの途中50MHzのリクエストがあり、ルーフサイド・ホイップでQRVしてみたが、50ではゼロ交信だった。

単純なEsにしては、4,5,6エリアが少なすぎるのだが、スキャッタがらみだったのだろうか?

けっきょく、当初の予定をオーバーして18:30でようやく撤収。*11
国内CONDXが小爆発してくれた反動か、この日 DXとの交信は無し。

*1 これでハマったのが、接着剤だ。巻線やコンデンサ役の1.5C-2Vを固定するのに 2液反応型のエポキシ系接着剤を使うわけだが、接着剤を使った直後に共振周波数が大きく低下する・・のだけれど、硬化すると周波数は再び上がり、けっきょく共振周波数の低下は ほんの少し・・だったのである。

*2 ただし、本文で書いたとおり、このまま作ってもダメですのでご注意ください。

*3 12/13の記事のとおり、アナライザでのSWR最小周波数。

*4 BU-50 1.7〜40MHz。実測では <30MHz という感じ。(^^;)

*5 被覆込みの外径は 3φ

*6 アタリマエである。しかし、妄想に向かって突きすすむのも、また楽し。(^^;)

*7 ワイヤ切断して圧着端子つけて測定・・のくり返し。もちろん高い周波数のバンドから順に。

*8 他のバンドがすべて短縮されているのに、28MHz用エレメントは長くなっている。原因不明。バランの特性なのか?

*9 21MHz用トラップは、18MHz用のメイン短縮コイルとして動作する。

*10 最近、某局も同じ災難にあったようで・・しかし、ほとんど「燃えている」という状態だったような・・(^^;)。

*11 粘れば、まだまだRUNできたと思われるが、帰宅しなければならなかった。

Tada/JA7KPI : 2010年05月03日(月)

«All JA Contest 2010 最新 寒風山»
編集