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[Radio] のめしアンテナの考察

2007年04月04日 19時 更新

TEAMのめしこきが盛況。10,000PVおめでとうございます。ワタシも毎度おせわになっております。ありがとうございます。・・・というわけで、勝手に「のめしアンテナ」の考察をやってみることにした。(2005.03.11)

Nomeshi-Whip アンテナ・シミュレイション・ソフトについては、MMANA でデータを作成し、計算自体は NEC-2 for MMANA を使っている。

基本アンテナの構造は、右のGIF画像のとおり。Whip部分の長さはほぼ10mに固定し、周波数ごとに給電点に入れた 集中定数 (L or C Q=300) で共振させている。インピーダンスの実数部は、実際のアンテナシステムでは ATU が入って自動でマッチングをとってくれるので無視させていただく。Whip長が10mだと、14MHzではかなりの高インピーダンスとなるが、それも気にしないことにする。

また、Whip部分は若干傾斜しているが、のめし移動の写真を見ると、たいてい傾斜しているようなので、この考察でも同様にしてみた。

クルマの部分は、かなり省略 & テキトーな構造にさせていただいた。データでは、4m×4mの平面状になっている。まあ、クルマをプレスすればこんな感じになるのではないか(?)と・・・で、この平面の高さは、1.8mとしている。なお、ATUのアース端子とクルマのボディは電気的にしっかり接続されていることを前提にしている。

以下に、各周波数での指向性パタン/計算結果を示す。なお、水平面指向性のパタンでは、上がX軸のプラス方向である。また、電離層反射の国内QSOを想定し、どの周波数でも水平面指向性パタンは、打ち上げ角=30度のものになっている。

1R9 1.9MHz

ゲインは、-6dBi 程度であり、1dB弱のF/B比が出ている。フロントはクルマのボディ側ということになるが、ほぼ無指向性といってもいい。ゲインについては、もちろん長い方が高いのだが、実際問題、10m以上は難しいだろう。15m程度まで伸ばすと、ゲイン改善効果はある。また、アース側に長〜い電線(ラジアル)を付けると、飛びが改善されると思いきや、共振周波数は落ちるものの、ゲインやパタン、インピーダンス実数部にはほとんど影響しない。

10度程度の低角度への輻射はあまり落ち込んでいないが、天頂方向にはNULLがある。もっとWhip部が長ければDX向きといっていいだろう。ただし60度方向にもそれなりの輻射があり、国内には向いていないとも言えない。

ちなみに、JA7KPIの逆V(エレメント端の地上高が極めて低い場合・・たいていそうなんですが)は30度方向で1dB勝っている。また、40度以上の高角度でも勝っているが、総合的に見ると負けているような・・・(T_T) うーむ、ATUでの損失はどれほどなんだろうな??

3R5 3.5MHz

ゲインは、-2.6dBi である。

その他、だいたい1.9MHzと同様の傾向である。ただし、天頂方向のNULLは浅くなっている。

7 7MHz

ゲインは、-1dBi 程度である。

Whip部の傾斜とクルマのボディにより、F/B比がだんだん大きくなってくるが、3dB未満なので S的には実感できないだろう。

Whip部が10mの場合、これは1/4波長なので十分とも思えるが、実際は共振のためにはもっと長さが必要である。クルマのボディ長とあわせてウィンダムのようなオフセンタ給電アンテナになっていると考えたほうがいい。したがって、ロウ・バンドがメインならば、Whip部分は10m以上あったほうがいいといえるだろう。


10 10MHz

ゲインは、これも -1dBi 程度。

高い打ち上げ角では、F/B比がかなり効いてくるので、わりと近場が相手の時はビームアンテナ化してしまうことが考えられる。

14 14MHz

ゲインは、-0.6dBi 程度。

その他、10MHzとほぼ同じだが、水平偏波成分の割合が増している。クルマのボディが1/4波長に近いからか?

18 18MHz

ゲインは、0.3dBi 程度。やっと 0dBi を超えた。

ここらへんからパタンがいびつになり、高角度への輻射が増えてくる。Whip部の長さが5/8波長を超えると、その傾向が強くなるようなので、アンテナ長にはちょっと注意が必要かもしれない。

21 21MHz

ゲインは、2dBi 程度だが、かなりひどいパタンになっている。

最大輻射方向は打ち上げ角=55度。水平偏波成分も Y軸方向でかなり大きくなっている。

また、F/B比の計算結果が2.39dBとなっているが、ちょっと見では6dBくらいあるような感じ・・?? あまり良いアンテナとはいえないかもしれない。

ハイバンドでも低い打ち上げ角を維持したいのであれば、Whip部の長さを5/8波長(21MHzの場合は 約8.9m)以下にするべきであろう。

24 24MHz

ゲインは、3dBi 程度。

指向性は水平・垂直方向とも落ち着いてきている。F/B比もほぼ 0dB。ただし、水平偏波成分は21MHzと同様に大きい。

28 28MHz

ゲインは、4dBi 程度。

ここまで周波数が上がって、ようやくフロント/バックが逆転するが、F/B比は 2dB未満なので、ほぼ無指向性なことには変わりがない。

これらのシミュレイションでは、共振用の L or C を Q=300 として計算させたが、ATUによるマッチング時の 等価Q=300 であるという保証はない。ちなみに、Q=100の場合は、絶対利得が1.9MHzで3dB程度、3.5MHzで1.5dB程度低下する。ATUに使用されているコイルを見ると、ちょっとQ=300程度あるとは思えないので(^^;)、注意が必要である。ただし、ハイバンドでは、あまり影響がないようである。

クルマ部分のデータは、もっと実際のクルマの構造に近づけたものも作ってみたのだが、計算結果はあんまり変わらなかった。あまり複雑にするとMMANAでの計算時間も増えるし、HF帯では、この程度のシミュレイトでおそらく十分なのではないかと思われる。ただし、クルマの幅と長さはある程度考慮する必要があるかもしれない。

nomeshi18.maa

↑ サンプル・データ・ファイルとして、18MHz用のMMANAデータを置いておくので、ご自由にお使いください。Whip部はワイヤ1です。クルマのサイズをデータに反映させるときは、アンテナ定義のタブで「接続点連動」にチェックして数値を増減させるのがいいでしょう。

ただし、ロウ・バンドでは、MMANAの計算結果には若干問題があるので注意しませう。→ 参照 Inverted Vee for 160m

6/13追記: 関連するその後の記事もありますので、見てね。→ のめしアンテナの考察2 ダブル逆L その後

Tada/JA7KPI : 2005年03月11日(金)
コメント(6) [コメントを投稿する]
JG0AXT/Ken 2005年03月13日(日) 09時

KPIさん、燕市のJG0AXT斉藤です。<br>大変参考になりました。<br>のめしこき掲示板にも紹介させていただきました。<br>あっ下のリンク元で既に15もありますね。。。

Tada/JA7KPI 2005年03月13日(日) 17時

AXTさん、ありがとうございました。<br>ワタシの移動スタイルは、いわゆる「のめし」スタイルではありませんので、自分でかの掲示板に書き込むのもなぁ・・と思ってました。(^^;)<br>本文にちょっと追加して、データファイルもDownloadできるようにしました。

JL7AIA 2005年03月15日(火) 20時

なかなかスルドイ考察ですね!<br>ハイバンドは高調波アンテナ動作するので私はオールバンド1/4λになるように手動で切り替えてます。7Mで21Mにも乗りますが使えるものではありませんでした(逆相分が邪魔をしている)

Tada/JA7KPI 2005年03月15日(火) 23時

1.9,7,21MHzの部分の考察と最後の部分に若干追加しました。<br>AIAさんのおっしゃるとおり、高調波アンテナとなると逆相成分が打ち上げ角を高くする要因となるようですね。<br>ただし、必ずしも1/4λにこだわる必要はなく、5/8λまでであればゲイン的にも有利ですし、垂直面パタンも許せる範囲内におさまるような気がしてます。

JH0RNN 2005年03月16日(水) 00時

 KPIさんこんにちは。<br> 興味深いお話で、面白く読ませて頂きました。何せ私はなにも<br>考えずにATUを使ってますので。。<br> HBなどSVCする方向を意識して竿を立てる必要がありそうで<br>すな(笑い

Tada/JA7KPI 2005年03月17日(木) 00時

RNNさん、どもども hi。<br>そのハイバンドでの最適エレメント長について、現在、いろいろ計算している途中です。<br>近日中にUPしたいと思っています。


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