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[Radio] 12エレのメンテ

2023年07月06日 12時 更新

2007年に作った 430MHz用の 12エレ八木宇田アンテナを 再設計&メンテしてみた。

まず 再設計・・ SWRとサブローブに不満があったため、ブーム長は変えず、かつエレメント長は 短くする方向のみ、さらに エレメント位置は 現物に合わせて移動できる範囲内で変化させて 再最適化を試みた。

その結果は、5月20日の記事で書いたとおり ごくわずかの改善に留まった。
まあ、これは これでいいとして、問題は SWRだ。

2007年製作時のSWRは 設計値は 435.00で最小・・だが 実際は 432.00で最小。今回も 同傾向で 設計値は 435.00なのに SWR最小は 431MHzあたりになってしまい、衛星バンドの 435MHz台では 1.7くらいになってしまっていた。→イメージ*1

430MHz 12素子 八木宇田アンテナ(改修後) つながってる紐は 手動仰角可変機構。


うーん、SWR=1.7か・・ HFならスルーだが、UHFでは ちょっと見過ごせない値である。Rigによっては 保護回路が動作してしまい パワーが出ないおそれもある。

まさにそのとおり、IC-910Dを使って 実験してみたら、フルパワー出ていないっぽい。これはなんとかせねば。

そこで、どう変形すれば実物と合うか MMANAでシミュレーションしてみたところ、第一ディレクタの位置が効くことが判った。
どうやら 少しラジエータ側に近づけるといいみたいだ。

しかし、第一ディレクタは いろいろあってブームに固定してしまっており、スライドできない。

で、エレメント端を少しラジエータ側に傾斜させるという手はどうよ? ・・と、まずは これもシミュレーションしてみたところ、あろうことか ラジエータ側ではダメで 逆方向 つまり前方に傾斜させると改善できることが判った。単純じゃないのだなぁ。電磁気は難しいよ。

掲載のアンテナ写真は 改修後のもので、よく見ると第一ディレクタが少し 前方に傾斜しているのが判るだろう。

SWR 430MHz 12素子 八木宇田アンテナ(改修後) by NanoVNA


改修後の 実アンテナのSWRは 図のとおりである。

なお、第一ディレクタを曲げたことによるゲイン低下が危惧されるわけだが、ここを 少しいじろうが ゲインにはあまり影響がないことが これもシミュレーションにより判明している。

元はといえば このアンテナのラジエータ、これが FD (フォールデド・ダイポール)だということだ。FDの給電点インピーダンスは 300Ω。これを どうせインピーダンス低下するだろうと使って 50Ω給電してしまうのは ちょっと無理があるのでは?*2
おかげで ラジエータと第一ディレクタの間隔は かなり狭い。これはディレクタというよりも ゲインには寄与しないインピーダンスマッチング素子と言った方がいいかも? また、間隔が狭いと MMANAの計算精度にも関わってきそうだ。

ということで、MMANAの計算値は 50MHzまでは ほぼ正確だが、さすがに 430MHzでは注意が必要だ。今回は 各エレメントの寸法や間隔について かなり正確に設定したつもりだが、MMANAの計算よりも中心周波数が低くなる傾向が窺えた。*3

もちろんエレメントはブームと導通していないし、しかも 数cm*4浮いている。しかし、エレメント上の電圧=0じゃない位置に、誘電体(ポリカーボネート)のエレメントブラケットがあるわけで、これが周波数を下げる要因になり得ることも理解できる。

アンテナは おもしろいなぁ・・ UHFもね


さて、その他 エレメント曲がってるの直したりとか、位置の固定とか、防水などのメンテナンスも あらためて実施。もうしばらくは移動運用で使うことができるものと思われるが、やはり もう少し長いブームのヤツが欲しい。
スタックになると 設置等 面倒になるので、シングルで ブーム長 3mちょっとというのが ウチのクルマにも 設置時の取り回しにも やさしいかなぁ・・ (^_^)


*1 あくまでもイメージです。

*2 某CD社の アンテナでは FDから 100Ω→50Ωというマッチング回路を経て給電しているものがある。

*3 これとは逆に 金属ブームに直接エレメントを固定すると 計算よりも中心周波数が高くなる傾向にある・・(^^;)

*4 約2.5cm

Tada/JA7KPI : 2023年07月05日(水)

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