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[Radio] 6エレ Hヘンテナ

2022年12月24日 11時 更新

シャックの430MHzアンテナというと、昨年2021年に 低仰角のスレスレ衛星への対応として12エレ Hヘンテナを製作した。

最近になって中軌道衛星(MEO) GreenCube(IO-117)が打ち上げられたが、どうも偏波面が不規則に変動しているらしい。この衛星に対応するには垂直偏波だけでは心許なく、とうとう 水平偏波用の新アンテナを製作するに至ったのである。

実は、最初に考えたのは高仰角への対応であった。しかし、高仰角と偏波切換、どちらが面白そうか考えたところ、いままでマトモにやったことがない偏波切換に軍配が上がったのだった。

Drawing of 6el. H-Hentenna H-Hentenna 給電部 2φ銅線 ハンダづけ


新アンテナといっても、今回は手っ取り早く作ってしまいたい。アンテナの材料は以前作ったものの残骸等、すべて手持ちのものでインスタントに製作してみた。

というわけで、今回も H (エイチ)ヘンテナ (H-Hentenna)である。

ブームは 18mm角 90cm長の木材。Ra Reの給電部は 2φ*1銅線(PEW)をハンダづけで組んだ。。D1~D4の導波器は 園芸用の 3φアルミ線。なお、銅線/アルミ線は電動ドリルのチャックに挟んで捻り、硬度を上げている。これらのエレメントは 木のブームに同じ太さのドリルで穴を開け、2液反応タイプの接着剤で固定。

寸法は図のとおり。設計としては ブーム長=一波長の6エレで、給電は 50Ωの同軸ケーブル直付け*2。200Ω給電の方が高性能のハズだが、今回はとにかく簡単に速く完成させることを念頭に置いた。

設計自体は F/B比とSWR帯域を重視しつつ アンテナ・シミュレーションソフト MMANAの最適化機能を使用。


MMANA*3 data file
hhu433-6-50w.maa ←適当にお使いください。ゲイン10.54dBi。

とりあえずできたっぽい 6エレ Hヘンテナ6el.H-Hentenna SWR-Freq. (NanoVNA)


SWRの帯域幅は、シミュレーションよりも広くなってしまった・・ ま いいか。*4

H-Pol.6el.H-Hentenna and other HentennasH-Pol.6el.H-Hentenna mounted under V-Pol.12el.H-Hentenna


まずは 衛星 FO-29のCWビーコンを追跡*5。水平6エレの方が地上高も低いしブーム長 半分以下にもかかわらず、切り換えてみると確かに水平が勝つときがあるし、圧勝する場合さえあるのだ。はぁ~ やってみるもんだなぁ・・*6

本命の衛星 IO-117では、AOSは垂直優勢。じわじわと水平が強くなる。2回くらい垂直/水平が入れ替わってTCA*7付近は垂直。その後は水平が強くなり、再び2回くらい垂直/水平が替わってLOS近くなると垂直が優勢。トータルでは水平の時間の方が長かったようだ。偏波がこれほど入れ替わるとは思わなかった。

数パス偏波切換(水平/垂直)を経験したが、なんだか切り換えるのが億劫になってきた。・・てことは、円偏波アンテナを使った方がいいのか? 右旋/左旋の切換は必要だろうけれど、ひとつのパスの中で右旋/左旋が頻繁に変わるということは考えにくいのでは?

それに・・低仰角のパスでも偏波は頻繁に変わる。・・本当に偏波が原因なのか?? ・・しかしスイッチ切り換えれば改善*8するし・・ うーむ、いずれにしても、6エレではちょいと力不足かも。アンテナは もっとブームを長くすべきだね。これは来春以降の課題としておこう。



Hヘンテナ (H-Hentenna)とは・・

元々の開発者は JR1FTE。1982年秋 JH1FCZ大久保さんの主宰する ミニコミ誌 The Fancy Crazy Zippyに発表された。JA7KPIは それを改良、単一指向性化して同誌に発表。大久保さんのはからい(?)で Hヘンテナの共同開発者としてクレジットされることとなった。

その後、CQ ham radio誌やモービルハム誌でも取り上げられたものの「ヘンテナはループアンテナ」と理解されていたせいか メジャー誌で このアンテナが Hヘンテナとして紹介されることは ほぼ無かった・・

433MHz Hヘンテナ 双指向性型 (単位:mm) 直径2mm銅線433MHz Hヘンテナ 単一指向性型 (単位:mm) 直径2mm銅線


図は、Hヘンテナの基本型。直径2mm裸銅線 (単位:mm)。双指向性と単一指向性の 2パターン。

構造が簡単なので、適当に工作すれば いちおう単一指向性アンテナができ、しかもマッチング機構なしで50Ωに整合可能という・・ もうちょっと人気 出ないかなぁ (^^;) *9


*1 直径2mm

*2 網線をリフレクタの方に接続。今回はフェライトコアなどは使用していない。

*3 オープンソース扱い URL→ https://github.com/ja7ude/MMANA 国内版forkを 2件確認!! JL3OXR氏の64bit版ビルドは まだエラー出るものの高速!!

*4 実際に設置し シャック側の同軸端での測定値。シミュレーションよりも広いとは、製作精度/誘電体損失等による可能性があり 喜んでばかりもいられない。

*5 周波数のドプラ補正を rigctldと GpredictによるPC自動制御。普通のQSOでは手動で十分だが、集中しないといけないので疲れます。(^^;)

*6 大昔の切換スイッチなんで、新調したくなってしまった。こうしてハマっていくのである・・(^^;)

*7 Time of Closest Access : 衛星と自局が最も接近するタイミング。

*8 水平/垂直とも同程度によくデコードする場合もあれば、弱くてどちらでもデコードできない場合もある。

*9 まぁ、当然ながら 欠点もあるんですがね。

Tada/JA7KPI : 2022年12月11日(日)

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