シャックの430MHzアンテナというと、2009年に 衛星メインとして 7エレ Hヘンテナを製作したわけだが、近年 RS-44や FT8とかで カスカス信号に挑戦する機会も増え、アンテナの実力不足を痛感。で、とうとう 新アンテナを製作するに至った。430用としては 12年ぶり。
・・それだけかよ!? (^^;)*2
というわけで、前任の 7エレHヘンテナが ブーム長1m弱だったので、今回 ブーム長は ほぼ 2倍の 1.97m、12エレとして設計。
ブームはアルミ角パイプ*3。もちろんブームもデータ化してシミュレーション。さらにエレメントはブームに直付けするので、ブーム径のエレメントへの影響も込み。*4
で、さんざんこねくり回してできたのが 次のデータである。
リフレクタと D3~D10は中央部でブームに固定されているが、ドリヴンエレメントと D1 D2は違う。つまり上下各部分の長さが異なっている。*6
今回は 200Ω給電としたが、Qマッチ想定の110Ωと 50Ω直接給電のバージョンも いちおう作ってはみた。しかし、50Ωでは ゲインはなんとかなるが SWR帯域がやたら狭く F/B比もイマイチ。110Ωのものは まあまあだったものの 200Ωにはとうてい及ばなかった。
さて、実作業としては・・
このやり方は 12年前製作の前任7エレと基本的に同じである。ま、12年もったんだから それなりに強度はあるものと思われる。(^^;)
クロスマウントは、クリエートデザインの CL6DXX*7に使われていた エレメントブラケット MC70*8を使用。
給電部の Uバラン*9は 前任7エレのものを流用し、幅80mm→ 47mmに改造。*10
いちおう組み上げ、室内+手持ち+NanoVNAで 仮に測定してみると、インピーダンス 160Ωあたり(Uバラン無し)で 共振点もバンド内にあるっぽかった。
しかし、ケーブルつないでルーフタワーに上げてみたら・・ うげげ、なんだ この SWRは・・ スミスチャートで見ても かなり怪しいぞ。*11
しかし FT8*12や衛星用周波数*13では使えないこともなさそうだ。とにかく このまま QRVしてみる。
FT8での 1エリア局は たいていが -20dB未満だが、-17dBで見えた局も。新潟市の局と -18/-18でQSO。しかし、たまにプロテクトがかかってパワーが出なくなる。これは マズい。
衛星では 特に問題ないようで、前任の7エレよりも若干良いような気もする。しかし、期待したほどではない。
ビームパタンについては、だいたいシミュレーションどおりと思われ*14、フロントで S9の信号が フロントサイド~バックでは 受信可能なものの Sはまったく振れない。*15
しかし、やはり 物足りない。MMANAのシミュレーション能力としては、HFハイバンド~144MHzでは実ANTに近い値となることが多く、製作精度に関しても許容範囲のハズ。
で、やはり12年前作ったUバラン及びケーブルを交換することに・・
まず、Uバランを作り直す。
ここで 交換のため 12エレを降ろして給電部をバラし、剥いてみると・・
なんということだ。Uバラン及び 5D-FBの給電部に近い 1mほどが 緑青吹いてたのである *16。これが 原因のひとつであろう。
錆びていたのは 1mほどだったが、全長を新品に交換。*17
然る後、ひーこらアンテナ 上げ、まずは SWR測定。やはり変に波打ってはいるものの 改善はしている。スミスチャートでも 怪しさは かなり減った。(^^;)
しかしながら、MMANAによる SWRのシミュレーション値とは 相当 かけ離れているとしかいいようがない。*18
これだけ違う原因はどこにある?
ひとつ気になっているのは、今回のアルミ平棒エレメント。MMANA上では 半径2.8mmとしているが 実幅が10mmもあり、エレメント間隔が狭い場合には MMANA計算データの誤差が大きくなるのではないか。*19 *20
今回の給電部のエレメント間隔は 47mm。前任の7エレでは 76mmなので かなり狭まっている。そこで、給電部エレメント間隔が 60mm未満にならないように設定した MMANAデータも作ってみた。
実は こちらの方が 少し広帯域 かつ F/B比も良いのだが、その差は 大きくなく、けっきょく データを作るのみで終わった。
と いうわけで、実際のアンテナは こんな具合。
仰角は隣の 144の5エレと同じく 約5度に設定。若干 地上波にシフトした形となった。*21
衛星では AOS/LOS付近メインということになるが、天頂付近でも 距離的には近いわけで 何とかなってるっぽい。*22
また、RS-44等の衛星スレスレ低仰角受信では、修正前と比べると 確実にゲインUpしたという印象である。
休日は 衛星のほか 430MHzの FT8にもQRVしてるので よろしくね。
おまけ
footnoteで、hhu435-12-200e8.maa の MMANA と MMANA GAL basicでの計算結果が 周波数的にかなりズレる と 書いた件・・
双方の計算結果画面を スケールを合わせて 合成してみた。
傾向*23としては似ているものの、MMANA GAL basicの方が 約5MHz上にズっている。
しかし、当方の移動用430MHz12エレ八木のデータで計算させてみたら・・あら不思議。
双方の計算結果は、ほぼ 一致しているのである。
Hヘンテナのどこが悪いんだよぉぉお!?
MMANA GAL basicは デザインイマイチだし、ワケのわからないエラーで計算や最適化が 止まったりするので あまり使いたくないのだけれど・・ 計算は速いんだよなぁ・・ (^^;) *24
誰か MMANAのコンパイル通して 新版ビルドしてくれないかなぁ・・ *25
*1 光陰矢の如し・・といった方が いいかも・・
*2 単純とはいえ 基本200Ω給電なので Uバランを作る必要があり、ここらへん 胸張ってメリットとはいえないかも・・ まあ、ハッキリいって 意地ですな。
*3 15mm×15mm。2m。
*4 エレメントは 幅10mm 厚さ2mmの アルミ平角棒。半径2.8mmのアルミ棒として計算。幅aの平棒→r=0.25a と いう変換式が元ネタ。
*5 MMANA、作者の森さんは 既に開発を行っておらず、オープンソース扱いとなっている。URL→ https://github.com/ja7ude/MMANA 誰か受け継いで!
*6 これもブーム電流による悪影響を排除する目的・・なのだが、目論みどおり働いているのかどうかは・・ (^^;)
*7 1980年代初頭に購入。2004年の台風で落下。
*8 MC70は CL6DXZにも使われているが、DXXのは Uボルトの幅が少し狭い(5cm)。
*9 200Ω→ 50Ω変換。
*10 あとで この流用が 失敗だったことが判明。
*11 丸すぎるのはアヤシイ。
*12 430.510MHz
*13 435~438MHz
*14 現用の144/430用ローテータは 正確な角度が出ない。(^^;)
*15 S1~S9が 3dB刻みだとすると、3×(9-1)=24で F/S比や F/B比は 24dB程度?
*16 かなり以前から 錆びて損失増えてたのかも・・ orz
*17 錆びていた部分は 廃棄。残りの部分は VUHFには使いたくないが、HFロウバンドなら使えるかな?
*18 2未満なら いちおうセーフ。それでプロテクトかからないなら まったく問題ないといっても良い。ホントかよ>ほぼホント。EMEとか大電力突っ込まないなら。
*19 MMANA自体の 計算精度は HFハイバンド~144MHzまでは かなり実物に近いのではないかという印象があるが、430以上は 現時点では確信もてない。
*20 今回 MMANAと MMANA-GAL basic の 本アンテナの計算結果が 430MHzでは かなり異なる(3~5MHzズレる)ことが判明した。原因は 不明。
*21 これでも 仰角 0.5度の衛星の信号が受信できたりする。
*22 しかしながら、やはり 仰角40度以上になると アクセス困難となる場合が多い。
*23 帯域が狭いのは、ブーム長に対して エレメント数が足りないのかもしれない。13エレにすべきなのかも。
*24 同一データ開いた時の TOTAL PULSE値、GALの方は やたら少ない。だから速い? セグメント増やそうとしても 増えないし 怪しすぎ。
*25 当方、C++ は まったく判りません。
アンテナのグレードアップおめでとうございます。<br>430MHzともなると、自作はなかなか難しいです。<br>私も、今月に入って、カラスに占領されているアラキの21エレから、X-Quadのスタックに取り替えました。ブームが20mmの角パイプで、センターマウントでスタックにするのに、付属のマストクランプは使わずに、手持ちのCL6DXX用のエレメントブラケットを使いました。なかなか重宝しますね。<br>でも、手持ちと言うのが怖い(笑)
ARAKIとかX-Quadとか、すごいですね。<br>当方は ANTに関しては なるべく自作でいくことにしていて、CL6DXX用のエレメントブラケットは 6個は既に使ってます。残りの1個も そのうち使うでしょう。