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[Radio] アンテナ取替

2019年07月04日 07時 更新

このたび、6m用の 5エレスタックを降ろし、6エレスタックに取り替えた。
前の5エレスタックは 2015年04月に上げて 丸4年。ALL JAコンテストでも 4回使った。

いまさら?? 初めから 6エレにしとけば良かったって?? いや、それはそうなんだけどね・・ (^^;)

新アンテナ 6el Stack+2el


前の 5エレの時の決め手は・・ 検討の過程で 限られたスタック間隔と他バンドアンテナとの共存を考慮してシミュレーションしてみたところ、5エレスタックと 6エレスタックのゲイン差が わずか0.1dBだったのだ。

これならブーム長もスタック間隔も狭くて済む5エレの方が安全かつリーズナブルであろうということになったのである。もちろん、当家の敷地の狭さという要因もあった。

ところが、納得したつもりだった 5エレだが、やはり長年使うと不満が出てくる。まず 気になったのはノイズ。ノイズから逃れるために F/B比を改善すべき*1だろうと、1年2か月後、スタックの中に 2エレの追加エレメントを配置。*2

そして やはりフロントゲイン、もう少しゲインを絞り出すにはどうしたら・・ もう 止められない止まらない・・ (^^;)


5エレ→6エレというと ゲイン差は 1dB程度のハズだが、十分なスタック間隔がとれないことと、HFの3エレ同居という条件では 前述のとおり 0.1dB止まりとなってしまう。
しかし、6エレのエレメント間隔/エレメント長、HF3エレの位置(高さ)、追加2エレのエレメント間隔/エレメント長と位置(高さ)、これらをすべて変数としてシミュレーションすることで帯域幅やF/B比を悪化させずにゲインを絞り出すことができるのではないだろうか。*3
そう妄想したのが 2017年の秋。明けて2018年春から 実際にシミュレーション計算地獄に突入した。


シミュレーションにあたって問題になったのが ベースとなる 6エレのデータだった。Net検索でクリエートCL6DXの寸法を探すが旧いものしか出てこない。最近購入したという方のBLOGを拝見するとクリエートのサイトやCQ誌の広告に出ている写真とは明らかにエレメント配置が異なっている。*4

とりあえず 旧いと思われるデータのまま進めてみたところ、1dBとまではいかないが なんとか 0.8dBゲインアップ可能という計算結果を得た。
0.8dB=1.2倍か・・ ビミョーだ。実行する意味あるのか・・ 出力50Wが 60Wになってもほとんど変わらないかも・・ QSBの揺らぎも あきらかに 0.8dB超えるわけだし・・

迷ったものの、やはり I'm GO。現物を仮組して採寸するしかない・・ と けっきょく CL6DXを2本発注。これが 2018年12月。


Structure of New Antennas in MMANA

入手した CL6DXは 取説では 8th edition*5 となっている。この版は、ドリヴン・エレメント*6が第一ディレクタとリフレクタの中央よりもリフレクタ側に近接している。
採寸して シミュレーションしてみると、単独アンテナとしては これはこれで優秀なデザインであることが判った。

しかし、個人的に このデザインが好みではない*7 ということもあり、シミュレーションの初期設定としては ドリヴン・エレメントとリフレクタの位置関係のみ固定値とし*8、あとは全部変数とすることにした。

ところで、CL6DXの給電ユニット内には コイルとコンデンサによる Lマッチ回路がある*9。コンデンサが 15PFパラであることやコイルの直径等から 100Ωあたりを50Ωに変換しているのだろうと推測。念のためメーカにも尋ねてみたが、当方では CL6DXのシミュレーション結果から これを 95Ωと設定して計算した。

その結果*10、6エレの第一ディレクタは もっと給電部に近づくことになった。パッと見では、ここが一番オリジナルのCL6DXと違う点だ。


また、追加エレメントの2エレは 撤去の場合も含めてシミュレートしてみたが、明らかに あった方が良いという結果になった。
そして その寸法の計算結果は オリジナルとの違いが 3mm以内だったため、あらためて オリジナルのままの寸法に固定して、位置(高さ)のみを変数として計算し直した。*11

最終的には、以前の試算とほぼ同様の +0.8dBというゲインを確保できる見通しがついたのだが、F/B比については若干低下することとなってしまった。


アンテナ取り替え工事は次のとおり実施*12。CL6DX改の6エレは 事前に自前で組み立てておいた。

1. 5エレを しなっと撤去。

2. 6エレを5エレと同じ位置に設置。スタック間隔は 現状どおり4.5m。スタックの上側アンテナは上にズレても問題ないが、下側アンテナはぴったり同じ位置にする。(下側にスタック間隔を拡げてもゲインは増えない)
  給電部がバック側に 46cmズレるので、同軸ケーブルをの引き回しを少し変える必要あり。(+給電部パッチンコアを5個追加して10個にする)

3. F/B比補正用の追加2エレを現状から 6.5cm上に移動。下の6エレからは 2.215m上。
  追加2エレ自体には変更なし。位置移動のみ。

4. 21/28の3エレを現状から 38.5cm上に移動。下の6エレからは 1.635m上。これも同軸ケーブルをの引き回しを少し変えてやる必要あり。(+給電部パッチンコアを5個追加して10個にする)

給電部にフェライト・パッチンコア*13 5個追加して10個とすることでインピーダンスを高め、同軸ケーブル外部導体側からのノイズ流入阻止能力向上を図った。*14



前の5エレとの比較 水平面指向性 青が6エレ


右図は 前の5エレシステムとの水平面指向性の比較。青が6エレ、赤が5エレ。*15

まぁ、こんなものか。ゲイン 0.8dB増よりも、ビームが少し絞られたことの方が大きいかもしれない。

F/B比は やはり 20dBちょっとあれば 御の字かと・・


左下は 垂直面指向性(同相)での5エレとの比較。右下は 同じく(逆相)での比較。*16

前の5エレとの比較 垂直面指向性(同相) 青が6エレ前の5エレとの比較 垂直面指向性(逆相) 青が6エレ

前の5エレとの比較 垂直面指向性(自由空間) 青が6エレ


左図は 前の5エレシステムとの自由空間における 垂直面指向性の比較(同相)。青が6エレ、赤が5エレ。

アンテナのナナメ下方面、設置場所近傍の隣家から受けるノイズの考察用。少しだけ改善されてるっぽいものの、五十歩百歩か。*17


6エレ 垂直面指向性の比較(同相と逆相)


左図は 新6エレシステムにおける 同相と逆相の垂直面指向性比較。

実際は 家屋の凸凹があるため これほどシャープなパタンにはならない。また、30度超への輻射は ハッキリいって不要かとも思うが、これ以上は仰角可変機構が必要。*18


SWR特性 赤が実測値


SWR対周波数特性は、5エレの時よりも シミュレーション値に かなり近い実測値が得られている。

これだけ似かよっていれば もう 成功といっても良いような気さえする。(^^;)*19


前の5エレとの比較 水平面指向性(実測)


最後にビーム・パタンの実測値の比較。

落合堤防河口付近(距離2.65km 標高5m 309度方向)に置いた FET一石の発振器+地上高1.5mDPの信号を自宅シャックで受信したもの。

赤が10か月前に測った5エレ。青が6エレ。150度方向は 某ビル+タワーの反射波と考えられる。

5エレよりも やたら強くなってるが、発振器の電池が新品だからか??*20


他アンテナへの影響としては、21/28の3エレについては、予想どおり ほんの少し SWRが悪化したものの、大したことはなかった。*21

また、ロウバンド 1.8~7MHz用の スローパーモドキについては、各バンドとも SWR最小周波数が 20~50kHz下がった。これは 5エレ→6エレで エレメントが増えたのとブーム長が伸びたことによるものと思われる。*22



2019.5.4 追記:

前の5エレとの比較 水平面指向性(実測) 50度方向


5エレの 50度方向のデータが見つかったので、6エレでも測ってみたのだが、なぜか反射波が盛大になっている。

向能代堤防 水管橋西脇付近(距離1.03km 標高5m 50度方向)に置いた FET一石の発振器+地上高0.4mDPの信号を自宅シャックで受信したもの。ちなみに、この場所からは6エレが直視できる。

メインローブは やはり6エレの方が若干シャープのようだが、フロントゲインの差は 今回の測定環境では 検出できなかった。(^^;)

新アンテナ 6el Stack+2el


21MHz3エレのSWR特性 赤が実測値28MHz3エレのSWR特性 赤が実測値


最後に、一緒に上がっている 21/28MHz 3エレの実測SWR値とシミュレーションの比較。

こちらも ほぼ シミュレーション値に近い測定値となっている。*23


アンテナシステム全体の受風面積を ざっと計算してみた。フロント/バックよりも サイド側の方が 受風面積は小さい。強風時は 風に対し サイドを向くようにすること。



2019.5.18 追記:

水平面指向性(実測) 275度方向


どうしても反射波の影響を取り除きたくて 発振器設置ポイントを再び変更。当方のアンテナよりも高いところ・・を探してロケハンしたら 能代公園が良さそうだった。

送信点 能代公園東端 距離1.00km 標高24m地上高1.5mDP 受信点からみた方位275度 仰角約0.1度。完全見通し。275度をフロントとしたいところだが、円グラフの制限で 280度をフロント方向と設定。
数値はSメータの読み。フロント最大方向でS9となるようアッテネータ*24を調節。

結果・・ なんか 納得のいくパタンになったようだ。上掲のシミュレーションによるものにも 似てるっぽい。*25

サイドは かなり切れ、フロントでS9の信号が消失するポイントがある。
また バックは ほとんどSが振れない状況で、誤差も大きいと思われるが、シミュレーション値の F/B比: 22.38dB はクリアできている・・ような気がする。て ことは フロントゲインも それなり? (^^;)


*1 F/B比が 20dB以上確保されているなら もう十分・・なのかも??

*2 追加エレメントは ゲイン増には ほとんど寄与しない。

*3 もちろん HF3エレの方に多少の性能悪化があってもスルーだ。ちなみに、前回 3エレの位置については 割とアバウトに決めた。

*4 ここらへん メーカは もっと気をつけてほしい。取説にも誤植等が散見される。

*5 2011年5月のリリース・バージョン。

*6 ラジエータ

*7 ラジエータが 第一ディレクタとリフレクタのほぼ中央に位置するデザインが美しいのでは? ※あくまでも個人の感想です。

*8 ここを変更すると 構造的に不安定となる可能性が高いと判断した。

*9 メーカによれば、この部分は 2017年に若干変更になっているそうだが、詳細は不明。

*10 こう書くと スンナリ最適化が収束したようだが、実際は 違う・・ (^^;)

*11 追加2エレの取り替えを不要にし、位置を変えるだけにすることで 工事時間短縮ができる。

*12 4月22日。3月中の実施も検討していたが、統一地方選挙がらみで仕事が入り 遅れてしまった。

*13 TOKIN ESD-SR-250 一個あたりのインピーダンス@50MHzは 約220Ω。以前は 1個300円程度だったが、ここ数年で 単価が 2倍程度に跳ね上がっていて一瞬躊躇した。(^^;)

*14 以前も少し書いたが、フォールデド・ダイポールの自己平衡作用については、理論上はともかく、現実的には あまり信用できないと考えている。また、なお、カタログ等には『バランは全て標準装備』との記述があるが、CL6DXの給電部にバランの類は内蔵されていない。

*15 以下のシミュレーションによる図は すべて MMANAによるもの。シミュレーション過程の一部では 計算速度が速いMMANA-GALも使用した。

*16 実際の地上高はスタックの上側で20mを超えるが、シミュレーションでは 周囲の家屋の高さ分 地上高を減じ 下側のアンテナ高を 9.75mとして計算。この方が実際の使用感に近い(?)

*17 注意: これは スタックのパタン。シングルと比べると まさに別物・・だと思う。

*18 逆相にすることで仰角15度付近のNULLが埋まれば御の字。MS(流星散乱)ではバックの局とできる確率が高まるのもおもしろい。

*19 実測でもシミュレーションでも 52.6MHz付近で再度1.1程度まで下がるが 使えそうな帯域は 52.5~52.7くらいで かなり狭い。ちなみに ここを超えるとフロント/バックが逆転する。

*20 詳しい原因は不明。できるだけ同一環境での測定になるようにしたつもりだが、周囲の家屋等の異動や植生等の変動があるため 完全ではない。

*21 後になって気づいたが、3エレのブームもデータ化して計算に入れるべきだった。・・やってみたが、数mmズレるようだ。誤差の範囲か・・ (^^;)

*22 ちなみに、ゲインは 0.01dB増えた。(^^;)

*23 つまり、このシミュレーションが かなりリアルに近づけているのではないかという いわゆるひとつの 真ジ <バキッ!!

*24 イイカゲンなので 減衰量をdBでは読めない。(^^;)

*25 まったく もう・・ アカデミックじゃねーな (^^;)

Tada/JA7KPI : 2019年04月28日(日)
コメント(5) [コメントを投稿する]
β教粗 2019年05月11日(土) 09時

やってますなぁ。5エレよりも6エレの方がバランスが良くて飛びそうな感じですね。<br><br>CDの50八木でFDを使っている物は、給電インピーダンスを28Ωで設計して、それをFDで4倍の112Ωにして、それを75Ωのλ/4ケーブルのQマッチで50Ωに整合していました。<br><br>√(28×4×50) = 74.8Ω です。<br><br>流石に5C-2Vの尻尾は外形的にもコスト的にも無駄と思ったのか、現在は集中定数によるLマッチに変更になっていますが、これもお説の通り、112Ω→50Ωの整合を目的にしていると思います。うちで8エレを上げる前に、位相の確認の関係もあって全部開けてみましたが全部同定数、同位相で作ってありました。<br><br>パッチンコアは値段が高い割に1tにしかならないので、FT240-43あたりに3D-2VあたりをW1JR巻にすると40dBくらいのグラウンド阻止量は取れるので、こっちの方が良いかも。LFAの時は強制バランを自作して使っていましたが問題ありませんでした。<br><br>あと季節の風物詩のグリッド集めですがQN00は5月8日にJA7WXL局とQSOできました。あと珍しいPM99は同じ日にJA7FHL局とできました。<br><br>できればどなたかに激レアのPN90をお願いしたいところですw

JA7KPI 2019年05月11日(土) 13時

β師 久々ですね。<br>給電ユニットは 5エレのCL6Aも 6エレCL6DXも まったく同じ作りです。7エレ8エレになるとブーム径も異なりますし 別物の可能性もあります。<br>パッチンコアのコスパが悪いのは そのとおりなのですが、3D2Vや コネクタ等の挿入を嫌ったわけです。<br>今のところ、ビームの切れが少しだけ良いのは実感していますが、ノイズについては 減った・・ような気がするだけで 実際のところはビミョーです。<br>PN90は おそらく どなたかが移動するでしょう。

je9cii 2019年07月03日(水) 08時

こんにちは。いろいろやってますね。最近6mでゲインのあるのが欲しくなり、大きさとバランスからまずはCL6Aシングルと思っています。わからないことあれば質問しますのでよろしく。

JA7KPI 2019年07月03日(水) 22時

CL6Aもコンパクトで良いですよ。ですが 意外と早く長いアンテナに取り替えたくなると思いますよ。(^^;)

je9cii 2019年07月04日(木) 07時

そう思います。CL6DXも考えたんですが、これ以上になるとたった1dBupでも金額も10kupするので。貴局もやられているようなスタックはポール短いので無理です。ということでCL6Aあたりでしばらくガマンです。来年は不明ですが。


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