ZCR/bLOG


[Radio] アンテナ改造

2016年06月22日 07時 更新

50MHzの 5エレスタックを上げて 1年経過したが、やはり 5エレではチカラ不足だと思う。
しかし、そんなことを言っても敷地も資金もない。ここは なにか他のことでドーパミン放出させるしかない。

で、先日(6月18日)、アンテナ改造作業を実施した。
実際のところは 改造・・というほど大げさでもない。5エレスタックに 2エレ分 追加し、ついでに ちょこっと修正/メンテしただけだ。

2エレ追加概要図


まずは 2エレ追加作業である。

改造前の MMANAによるシミュレーションのビームパタンは、昨年の記事のとおり F/B比があまり良くない*1。これをなんとかしたい。

そこで、スタックの間に安直にエレメント追加挿入してF/B比改善できないかどうかシミュレーションしてみた。これは以前少し書いたとおり。

追加する本数は、1エレでも それなりの効果が出る場合があるものの、もう一声・・という感じで、けっきょく 2エレ*2追加ということになった。*3
なお、既存の 5エレスタックに変更は加えていない。


2エレ追加後のシミュレーションによるビームパタン


改造(2エレ追加)後の MMANAシミュレーションによるビームパタンは、それなりに格好良くなった。

さらにF/B比を上げて -30dB未満にすることも可能だったが、前方に高角度のサブローブが出てしまう*4ため採用しなかった。

フロントゲインが 0.02dB増えているが、誤差の範囲未満である。減らなかっただけ御の字。

SWR最小周波数が 約100kHz上昇したが、もともと低SWRなので特に問題なし。


赤:改造前 青:改造後


自由空間で計算させたパタンで 改造前/改造後を比較すると、真上(真下)方向への輻射は少ないものの、後方40~60度の輻射は増えているのが心配。

しかしながら、後方低角度への輻射は かなり抑えられている。ということは、後方水平方向から到来するノイズの影響をを排除できるということだ。


改造前/改造後 実測ビームパタン比較。単位は S値。15度じゃなく10度ずつ測定すると きれいに見える。(^^;)


さて、シミュレーションばかりでは よろしくないので、ビームパタンを実測してみた。改造前は作業の2日前、改造後は当日の作業終了後に実施した。

例によって、信号源は 1石の発振回路。送信点は 方位 約140度、距離 約1.2km、標高 8m 地上高 1.5m 水平偏波。受信点からみた俯角は 0.64度。目盛りは RIGの Sメータの読みである。*5

改造前/改造後とも310度方向の尾ひれが大きい。これは某ビル*6による反射と思われ、改造後も変化はほとんど無い。

しかし、350度~40度あたりの尾ひれは それなりに小さくなっており、これは追加エレメントの効果であろう。

なお、今回の作業では、5エレの給電点に NEC/TOKIN*7のフェライト・クランプ・コアを 5個ずつ挿入*8しており、それも含めた測定値となっている。


昼間ノイズマップ 改造前/改造後 比較。単位はdB。


さて、2エレ追加とパッチンコア挿入でノイズレベルに変化はあったのだろうか。

ノイズレベルは微弱なので、Sメータでの測定は不可能。RIGのAF出力(CWモード)を見ることにした。*9

したっけ、改造前/改造後で ほとんど差はないという結果に。
しかし、この手のノイズは そのレベルが刻々と変化する。改造前のデータは 1か月前のものであり、しかも測定精度自体 悪く、比較できるような代物ではなかったともいえる。(^^;)

このグラフから判るのは、140度方向と310度方向にノイズ源*10がありそうだ・・ということくらいか。*11

また、パッチンコアについては、5エレの輻射器がフォールデド・ダイポールであり、単なるダイポールや LFAのようなループよりも自己平衡作用が利いているため効果が見えにくいという解釈もできよう。


改造後のアンテナの写真。


というわけで、エレメント追加やパッチンコアでのノイズ低減は確認できなかったのだが、F/B比が改善したのは とりあえず確認できたし、まぁいっか (^^;)・・といったところである。

今回は、アンテナのほかに、マストキャップの取付けもおこなった。キャップは、単なるブリキの缶なのだが、いちおうゴム系の接着剤と自己融着テープで養生してある。キャップが無いと、マストパイプの内部に雨が入るので二重化部分が心配なのと、風に吹かれての音鳴り防止というのも期待している。

また、タワーの点検も実施したが、予想以上にボルトが緩んでいたのにはおどろいた。

しかし、写真撮ってみて けっこう (いびつ)だな・・と思った。追加部分は 3エレにした方が安定なんだろうな・・とも。


まあ、これで あと 1年は頑張るぞ。*12


*1 7エレ程度ならそれなりの性能になるものの、5エレでは・・

*2 概要図に追加エレメントのだいたいの寸法を記しているが、当方の環境に依存するデータなので、あくまでも参考ということで。

*3 エレメントやブラケットは CL6DXZの残骸を使用。反射器部分は長さ不足で 7φのアルミパイプを購入して繋いだ。ホームセンタのものは かなり柔らかいので要注意。

*4 前方65度あたりに -15dBのサブローブ。これは デカすぎると判断した。

*5 アンテナのフロント方向で S9になるように調節。

*6 距離 約80m。

*7 50MHzでのインピーダンスを TDKの ZCAT3035をはじめ他メーカのものと実測比較したところ、ダントツで NEC/TOKINのもの(ESD-SR-250)が良かった。

*8 いわゆる「パッチンコア」。HFの 3エレにも入れた。

*9 RIGのANT端子を50Ωダミーロードで終端したときのAFノイズレベルを 0dBとした。

*10 今回の測定では お天気がイマイチだったので、例の太陽光発電ノイズは おとなしく、キュルキュルノイズは聞こえるものの 測定値に影響は出ていない。

*11 フロント方向以外のノイズが低下しているということを期待したわけだが、それは今のところ検証できない。

*12 1年後が怖い。(^^;)

Tada/JA7KPI : 2016年06月21日(火)

«なかなかできない 最新 大館市 長走»
編集