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[Radio] Geminids Meteor Scatter

2017年01月03日 14時 更新

11月はじめ MSK144を追加した変更届出が 3日ほどで審査終了となり、PRのつもりで しつこく電波を出し始めた。

MSK144とは いわゆるデジタル・モードの一種で、はやい話 高速なRTTYみたいなものである。エラー訂正符号を含む短い文章を 5~15秒間 何回も繰り返して送信する。流星が シュッ と流れると その一瞬だけ信号が反射されて通信ができる。「その一瞬」の長さは 0.1秒あればよい。

MSK144の諸元については、前に書いた記事を参照いただきたい。


ところで なんで このMSK144に注目したかというと、それは 50MHz帯における 11~12月のCONDXの悪さに端を発している。当局の場合、昨年11~12月の交信数は たったの 7。ここ十年間でも 7が最大で、ゼロという年も多数ある。まぁ 田舎だから しょーがないが、これって もう少しなんとかならんのか・・というわけだ。11~12月というと、おうし座(南/北) しし座 ふたご座 こぐま座 こじし座 など 使えそうな流星群が多くある。*1

さて、今年のアクティヴィティについては、やはり まだ MSK144は マイナーなのだろう。交信数は 18だが 複数回交信した局もあり、局数でいうと まだ 10局である。エリア的には 1 3 5 6 8で、AJDすらできていない。(^^;)

周波数は 50.280MHz(USB)のみでQRVしているが、QRMで困ったということは 今のところ ない。MSというと信号の伝搬としては Esに近いが、たとえていうと 流星が流れるたびに別のEsが発生する・・というような具合で 一定時間 同様のCONDXが継続するということではない。
したがって同一周波数に複数局がQRVしていても なんとかなっている。今後 局数が増えてくれば、3~5kHzおきに上の周波数を使うようにすればよい。

アンテナの向きについては、基本的に Esと同様 交信したい方向に向けておけば良さそうだ。比較的近距離の場合は最短ラインの方向からずれる場合があるそうだが 500kmで±20度程度であり、半値角の狭い相当のロングブームでなければ あまり気にしなくてもいいだろう。


ソフトウエアとしては、WSJT-XMSHV が MSK144を実装している。当方は WSJT-Xを使っていて、設定については 前の記事で 少しふれてある。

T/Rについては、開発者は 15秒を推奨している。しかし、当方の感覚では 15秒は長く、勝手ながら 10秒に設定している。*2
ただし WSJT-Xのデフォルトとしては今のところ 5秒になっている。相手が10秒の場合 このままQRVしてしまうと 相手の送信中に自局が送信してしまうことになる。当然 相手局は受信できず、無駄な送信となってしまう。
流星活動が非常に活発であれば 5秒シークェンスも有効だろうが、ふたご座までの観測では 5秒は短すぎると思われる。*3

交信手順については、双方レポート交換後、CQ局側が RRR を送出し、応答局側が RRRを受信した時点で交信自体は成立したとみることもできるだろう。しかし、その RRRが相手に伝わったのかどうかは 応答局側からの 73 をCQ局側が受信して初めて知ることができる。73が送られてこなければ CQ局側は 延々とRRRを送り続けなければならない。
RRRを受信したら 必ず 73を送るようにしていただきたい。それを確実にするため、「Auto Seq」を ONにしておくのも有効だろう。


さて、なんで流星群に星座の名前が付けられているのかというと、流星群には「輻射点」というのがある。
たとえば ふたご座流星群なら、ふたごの兄星のカストルあたりから流星が放射されているように見える。この天球上の仮想の点を輻射点というわけで、つまり流星群には輻射点近傍の星座の名前がつけられているのである。
ということになると 輻射点が見えなければ 流星は飛ばない。つまりMSによる交信も成立しないのだ。

お目当ての星座が 何時に地平線上に昇ってくるのかは、プラネタリウム・アプリとか天文年鑑等、あるいは それなりのサイトでチェックいただきたい。*4


あと、注意すべき現象としては「天頂効果」がある。
たとえば ふたご座流星群だと、輻射点の高度は 仰角にして最大70度以上となる。このように高い輻射点から流星が降ってくる場合、地上から発射された電波は ほとんど上空に向かって反射されてしまうため一時的に MSによる交信ができなくなってしまう。

確かに一般的なアンテナでは そのような結果になるのかもしれない。しかし、6m DXに使えるような打ち上げ角が低く高利得のアンテナでは 双方同一方向(西とか北とか)に向け バックスキャッタのような仕組みで QSO可能なのではないかという気もする。今回の ふたご座でも試してみたのだが、試行回数も少なく、残念ながら確証は まだ得られていない。*5

今回は 50MHzだけだったが、MSに関しては 28MHzや144MHzでも可能だし、実績もある。28MHzでは天頂効果が あまり無いという話もあり、そのうち挑戦してみたいと考えている。*6



2016.12.15 追記:

ふたご座流星群については 既にピーク(12/14 午前中)を過ぎ、明日には完全に終息する見通しである。

次の流星群は 22日の こぐま座、29日の こじし座。年明けの 3日には FB CONDXが期待できる しぶんぎ座も控えている。


それから、MSK144というモードは ADIF規格には まだ存在しない。ということは、LoTWや eQSL に Uploadしようとするとエラーになってしまう。

少し古いモードのFSK441などは ちゃんと規格にあるので、MSK144も WSJTの正式リリース版に搭載されれば そのうち規格化される可能性がある。だが それまで待てないという方には、モードをとりあえず「DATA」にしてUploadしてしまうという手がある。

LoTWなら、TQSL→ファイル→ADIFモード→追加→MSK144と入力→DATAを選択→OK ・・これでMSK144をDATAとして送信するようになる。*7



2016.12.22 追記:

こぐま座流星群、本日17時に極大予想されていたのだが、実は本日お昼前がピークだったもよう で 既に 終息間際という状況である 。過去にピークが2回だったこともあるが・・ と思ってたら、なんと今年もまさかのデュアル・ピーク。日本では 顕著ではないみたいだが・・ もう少し頑張ってみるか・・ (^^)*8

次の「12月こじし座」は 29日極大予定だが、規模は より小さいので おそらく29日のみの出現になりそうだ。その次の しぶんぎ座は元旦から出現する可能性もある。MSK144で NYPやるってのも一興かと。*9

とにかく、JT65AでもQSOできないのに MSK144ならできてしまうという現実。これはスゴイと思った。QRV可能な局が増えれば もっとすごいぞ。


さて、MSK144の諸元情報のおかげか 本サイトへのアクセスは盛況で、通常の1.5倍のアクセス数となっている。ありがとうございます。
そういえば WSJT-Xには MSK144のほかに QRA64という新モードも登載されたのだが、こちらはまだ申請していない。QRA64A以外の詳細がわからなかったためだ。また、以前申請したJT65などについての間違いも発見してしまったりして・・*10、近日中に また変更届を出さなくちゃ。


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*1 一方で「特定の流星群に属さない流星」というのもあるわけで、そのようなものを「散在流星」と呼んでいる。

*2 勝手に設定せず、作者推奨の 15秒を使う方がQSO成立の確率がUpするはず。なので、10秒はやめて15秒に統一しよう!

*3 8月のペルセウス座なら 5秒でもいいかもしれないが、8月のCONDXでは MSK144を使う意味が薄れる。(^^;)

*4 ほとんどの流星群については、極大日(時刻)が予測されている。散在流星については 予測は不可能だが、地球の自転の関係から 夜明け前後の時間帯に増加する傾向にある。

*5 仰角についても イマイチ不明な点あり・・

*6 Netをうまく使えば 盛り上がるかも?

*7 でも当方は まだ様子見で DATAでのUploadは未実施。(^^;)

*8 23日早朝には終息。

*9 QSOパーティの規約では、RSTと名前を交換するとの規定があるため Free msgをうまく使う必要がある。ちょっと難しいか・・

*10 他人が作った諸元表を鵜呑みにしちゃあ イケマセン。(^^;)

Tada/JA7KPI : 2016年12月14日(水)
コメント(3) [コメントを投稿する]
JG1APX 2017年01月02日(月) 16時

初めまして。 東京の飯泉と申します。<br>複数回 MSK144の貴局信号お見かけしております。<br>ADIF規格3.0.4(今から2年以上前?)には最近の新モード、QRA64, MSK144, SIM31/63 などが含まれていないのでeQSL, LoTWでどうしたらよいのやら。新規に設定されるまで気長に待とうと思っています。 LoTWでもモード変更を設定しても所詮変更したモードで登録され、双方が同じモードで登録しないとCMFされませんし本来のモードではないですからだいぶ前に元に戻してしまいました。 早く改訂されれば良いです。<br>今後ともよろしくお願いします。

JA7KPI 2017年01月03日(火) 10時

APXさん、当方からも数回お呼びしましたが残念ながらQSOできずでした。<br>ADIF規格自体は3年以上更新されておらず、サイトにも No ADIF support issues or questions なんて書かれているのでどーなっておるのだ!? (^^;) っていう感じですが、まぁ待つしかないのでしょう。<br>MSK144は北米ではだいぶ人気のようなので、そろそろ圧力がかかるものと予想しております。

JG1APX 2017年01月03日(火) 14時

今夜遅くから明朝にならとわずかながらの期待をもっております。見えましたらお呼びいたします。 但し、こちら地表波が入り乱れての混雑にならなければよいなとも思っています。


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