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[Radio] だいち2号

2019年09月20日 00時 更新

だいち2号という人工衛星をご存知だろうか。陸域観測技術衛星だ。
詳しくは Wikipediaなどをご覧いただくとして、実は こいつが搭載しているレーダは Lバンド・・1200MHzのアマチュア無線帯域を侵食しているのである。

1200MHzといえば アマチュア無線は二次業務なので、最近は TVのマラソン中継等のFPUに侵食されていることは知っていたが、まさか衛星のレーダも使っていたとは・・認識不足であった。

で、だいち2号に戻るが、『簡易リフレクターによるALOS-2の教育活用』という事業が全国で展開されている。これが 本日 能代市立第五小学校のグラウンドで実施されたというわけである。

しかしながら、グラウンドにコーナーリフレクタを並べて 衛星の通過時刻を待つだけでは やはり味気ない。
なんかもっと わらしがださインパクトあるイベント・・ だいち2号の照射するレーダ波を「音」として聞かせたい・・ということで コーディネータを務める exJA7UFUから連絡があった。


だいち2号のレーダ PALSAR-2の中心周波数は 1257.5MHz。日本のアマチュアバンドの下限は 1260.0MHzなので受信できない・・と思いきや、スペクトラム拡散かどうか判らないが PALSAR-2の帯域は 84MHzもあり、しかも空中線電力は 5kWともいわれているので、もしかして 1260MHzでも何らかの信号が受信できるのではないか?

しかし、確実に受信できるかどうかは判らない。ここは やはり 1257.5MHzを受信できる受信機をなんとかしたい。
まずは、当方が持っている IC-910やIC-9700を ちょちょいと改造することはできんのか??

調べてみると、IC-910は可能。しかし、基板の微小パターンに細かいハンダづけが必要。10年前なら なんとかできたのだが、今は眼が追いつかず 無理。
IC-9700の方は MAIN UNITの基板のダイオード・マトリクスを ちょちょいと変更すればUSA仕様に改造可能と診たが、IC-910以上に微細なハンダづけが要求される。これも無理と判断。もっとも、実施してしまうと 電波法違反に問われても文句は言えないかも。


ということで、まずは 1257.5MHzドンピシャを受信できるRig・・ これは 大昔からの友人 JA7NJNが AORの AR-miniを貸してくれるということになった。JAXAから AMモードで受信するのが良いとの情報を得ていたのだが、AR-miniは AMモードOKだ。

当方は 昔 使っていた 1200MHz用の14エレを提供。コネクタは BNCに付け替えた。


で、受信は大成功。・・って、実は KPIは現場に行ってないので・・ (^^;)

ただし、PALSAR-2の「音」は 自宅シャックでも受信できた。
Rigは IC-9700。AMモード。周波数は・・1260.00MHz。そう、超広帯域のレーダ波なので 中心周波数から 2.5MHz離調していても しっかり受信可能だったのである。ノイズ・ジェネレータの電源電圧に AF信号を乗せると AMモードで全帯域で受信できるのと同じ原理か?

だいち2号のレーダ PALSAR-2の信号
20190919_114115.mp3

キーーン・・という音は 約1900Hz、正弦波というより三角波に近いかも。これは なんかの同期信号なのか? それともわざわざアナログな識別のために乗っけているのか??
信号のピークでは IC-9700の Sメータで 3~4振っていた。アンテナは 5エレ クアトロ・ヘンテナを使用した。なお、PALSAR-2は さまざまな偏波の組み合わせが可能なようだが、地形観測については基本的に水平偏波らしい。

現地で CALSAT32とか gpredictの画面も見せてあげたら良かったのかも・・と、終わってから気がついた。(^^;)


なお、だいち2号は 四六時中レーダ波を照射しているわけではない。しかるべき日時にしかるべき方向に向けて電波を出しているわけだが、おそらく本来のミッションに関わる情報は出してくれないだろう。ただし、教育活用については それなりの筋を通せば情報提供してくれるのではないだろうか。

さあ、あなたも だいち2号の レーダを受信してみよう!


Tada/JA7KPI : 2019年09月19日(木)

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