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[Radio] 4段コリニア

2018年03月03日 14時 更新

常置場所現用の145MHz用アンテナは 9m高の 5エレだが、これと切り替えて遊べる(^^;) 4段コリニアを製作してみた。

145MHz用 4段コリニア 概要図。基本的に すべて 2φ銅線。


コリニアの概要は図のとおり。いわゆる 5/8λ4段というヤツだ。ダイポールの 4段スタックのような動作となる。

スタブ部分の長さは ほぼ34cm。ワイヤ・タイプのコリニアのスタブというと1/4λ・・という例が多いと思うが、切りが良いからと1/4λにしてしまうとスタック間隔が狭まったのと同じで ゲインが取れなくなってしまうのだ。

そういえば、某誌に同軸ケーブルを互い違いに接続していくタイプのコリニアについて載っていたが、SWRに こだわっているようで なんか変だった。
それはさておき、あのタイプは速度係数 0.8とか0.67とかの短縮ダイポールのスタックということになるわけで、スタック間隔も狭く 段数の割にゲイン増加は あまり期待できないのではないか。*1

さて、スタブの底から50Ωの同軸直結での給電も可能のハズだったのだが、スタブ部分の間隔がクリティカルになりそうなので パス。オーソドックスにダイポールの中央から 4:1の Uバラン*2での 200Ω給電とした。


145MHz用 4段コリニア 現物


MMANA data file
colliner145_4_200c.maa ←適当にお使いください。

いちおうMMANAファイルを あげておくが、当方の環境では このデータファイルのとおり製作したらSWR最小周波数が約5MHz低下して 140MHzでSWR≒1になってしまった。*3

このため、スタブ部分には手をつけずに 4本の垂直エレメント部分につきトータルで25cm程度(1本あたり6cm程度)切り詰めたところ、めでたく145MHzでSWRが落ちてくれた。*4

シミュレーションとのズレが大きかったことの原因は不明。タワーに近いせいもあるのだろうが・・*5 *6

実際の設置状況は 右写真のとおり。*7
タワーの途中からロープでナナメに引き下ろしている。


4段コリニア スタブ部分


スタブ部分は 左写真のとおり。直径25mmの塩ビパイプ*8を使っている。スタブの幅は 4cm。

なお、すべての銅線は 電動ドリルのチャックで挟んで捻って ある程度硬化させている。*9

よく見ると判るかもしれないが、給電部にも塩ビパイプを使っている。


4段コリニア 指向性パタン


MMANAのシミュレーションによる指向性パタンは 右のとおり。ほぼ無指向性で、打ち上げ角は 2.5度。グラウンド・リフレクション込みだが ゲインが13dB近くあるのがスゴイ。


4段コリニア 指向性パタン with タワー

しかし、実際には タワーから引き下ろしているため、アンテナは 若干傾いてしまっている。

これをシミュレーションしてみたのが右図。タワーの南側を 0度としてアンテナは55度方向に引き下ろしている。コリニア自体の傾きは ほぼ13度。

傾いている南東55度方向への輻射は打ち上げ角が上がってしまうためゲインは低下。また、タワーの後側への輻射も減ってしまうが、南南西や北東方向への輻射は傾きの影響が無いためゲインは減らず。むしろタワーが反射器になった分増えている。


実際に 5エレと切り替えて使ってみた感じでは、5エレを直接向けた方が良い場合が多いのだが、この4段コリニアが勝つ局面も確かにある*10のだ。ただ、Sメータの振れでコリニアが勝っても、S/Nでは 5エレ勝利という場合があり、ここらへん、ひじょうに興味深いところではある。


さて、市販品では 145MHzと435MHzのデュアルバンドで使えるという製品もあるのだが、このアンテナについては、残念ながらシングルバンドである。少なくとも MMANAのシミュレーションによるSWR値は 2.5を超えるという計算結果となる。

しかし、実際には 430~440MHzにおいても SWRは実用範囲内(2未満)に収まっているし、435MHz用の 7エレで なんとか受信できた信号が このアンテナでも かろうじて受信できた・・という実績がある。MMANAでのシミュレーションでも 低打ち上げ角で いちおうのゲインがあることになっている。まあ、使えないこともない・・といったところか。(^^;)*11

まぁ、アンテナ切り替え・・ってのは オモシロイ・・ と いうことなのだな。それにつきるよ。*12



2017.09.08 追記:

脚注で書いた スタブ部分の寄生容量の件・・

寄生容量= 0.5pF の場合 スタブ長 → 約28cm
寄生容量=0.05pF の場合 スタブ長 → 約32cm
寄生容量= ナシ の場合 スタブ長 → 約34cm

・・といったところか。寄生容量込みのデータファイルは次のとおり、

MMANA data file
colliner145_4_200_para-C0.5.maa ←適当にお使いください。

垂直エレメント部分の長さは変えずに、3つのスタブの長さを同率で短くしてSWRを下げる・・というのがいいのかな・・と。



2018.03.03 追記:

急速に発達した低気圧により、当地では暴風雪警報が発令。最大瞬間風速は27m/sにも達した。3/2 16時過ぎに警報解除となり、アンテナをチェックすると給電部直下でエレメント(2φ銅線)が切断。

やはり給電部は同軸ケーブルも付いていて重いため、風による揺れの振幅が大きく、ダメージも大きいものと考えられる。

翌 3/3は良く晴れて風も治まったため、修理も楽にできた。給電部付近にはプラスティック棒をそわせて補強とした。

なお、SWRは 144.00→1.2 145.00→1.15 146.00→1.1。


*1 本当に位相が揃っているのか とか、どこでどうやって共振しているのか など、誰か解説してほしい。(^^;)

*2 λ/2ショートの5D-FBで実験したところ、速度係数は 0.786となったので、Uバラン部分の速度計数は 公称値の0.8で計算した。

*3 145MHzで使えないというわけではない。

*4 スタブ部分も切り詰めるのがホントだとは思うが、手を抜いた。しかし、性能差は ほとんどないだろう。

*5 スタブ部分に使用した塩ビの誘電率も効いてくると思われる。後日 スタブの塩ビパイプ部分に小さなコンデンサが寄生しているとしてシミュレーションしてみたところ、0.3pF程度で foが140MHzにまで低下した。テフロンを使うのがいいのだろうが、バカ高いので せめて 抗菌まな板とかのポリスチレン系の材料で作るべきか。厚みも問題で、できるだけ肉厚の薄いパイプがあれば良いのだが・・

*6 けっきょく、垂直エレメント部分ではなく、スタブ部分を修正するべきだったのだなぁ・・ (^^;)

*7 8月25日現在でのエレメント長は、上の段から 1234mm 1434mm 1472mm 1217mm。スタブ部分は 当初から変化無し。幅40mm 長さは 上の段から 351mm 342mm 333mm。

*8 塩ビは誘電率がデカ目なので注意。できるだけ肉厚の薄いものが良いのだが、強度の問題もあるし、エレメント長修正は必至というつもりでいた方が良いかも。

*9 捻りすぎると 電線の直径が減ってくるので注意のこと。

*10 5エレの高さは 9m、コリニアのてっぺんは 13mちょいで コリニアの方が高いというのも利いているだろう。

*11 145MHz用のUバランは、原理的に 435MHz用としても使える。

*12 衛星通信で 切り替えるのを忘れて 5エレではなく このコリニアを使ってしまったことが何回かあった。さすがに上には飛ばん。

Tada/JA7KPI : 2017年08月12日(土)

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