以前も書いたのだが、バーテックス・スタンダードのVX-8は バーアンテナ内蔵を謳い文句にしているくせに、AMラジオバンドの上の方では使い物にならないほど感度が悪い。
当地 能代市では、936kHzの秋田放送は なんとか受信できるのだが、1,503kHzのNHKラジオ第一放送はまったく受信できない。
これでは、大きな災害や長期停電を考えると、やはり不安にならざるを得ないのである。
それで、一時はメーカ送り*1で修理してもらおう・・と考えたのだが、ネットで情報を漁ると、どうも元々感度は良くないらしい*2。
で、ほぼアキラメの境地になっていたわけだが、とりあえずバラしてみた*3のが右の写真である。
案の定、手を入れられる箇所などまったく無い・・という雰囲気。(^^;)
問題のバー・アンテナは、フェライトバーがやたら小さい。こんなんでアンテナとして機能するのか・・という感じ。
型式としては、非同調型なのか? トラッキングとってるとも思えないし・・
銅板らしきもの*4が貼り付いているが、これは静電シールド? なんか怪しい。
これをなんとかすれば・・とも考えるが・・今はやめとく*5。(^^;)
ここで登場するのが、我が家現用の電池式ラジオ*6、FORTEO。
単4電池3本の4.5Vで動く。
たまに寝床で聴いたりもするが、周囲にアンテナとなる電線類がない状況でもそこそこ聞こえるので、選択度等はさておき感度としては悪くはない。
このラジオFORTEOをバラしてみると、VX-8のバー・アンテナとほぼ同程度の大きさのものが使われている。*7
しかし、感度は雲泥の差で、FORTEOでガンガン聞こえているのがVX-8ではまったく入感しない。かすりもしないのだから困るのである。
バラしたついでにポリバリコンのトリマやIFTを調整したら、いくらか感度UPしてしまったので、その差はひらくばかりだ。
で、まずはVX-8に手を入れずになんとかできないか・・を検討。
外部アンテナを接続すれば・・と、アマチュア無線の1.9MHz用逆Lをつないでみたが、混変調の類は増えるものの肝心の放送は聞こえない*8。
それでは、よくある同調型ループアンテナはどうだ・・とでっち上げてみたのが右の写真である。
コイルは、amazon.co.jpの段ボール箱*9に1mmφのエナメル線を20回巻き、テープ*10で固定してある。
バリコン*11は大昔の真空管式5球スーパから外したジャンクで、30年以上振りの登場だ。
しかし、一般の方々がこの手のループアンテナを作ろうと思っても、今はバリコンが手に入らないのではなかろうか。ポリバリコンなら通販でもなんとか入手可能かも。
バリコン回して、おおむね 500kHz~1,600kHzで同調可能であることを確認。
写真のように 1,503kHzに合わせたVX-8を置いてバリコンを回すと・・・あら不思議(^^;)まったく聞こえなかったNHK秋田第一放送がメリット5で受信できるのだ。
まさに感動。科学の勝利・・である・・てゆうか、このVX-8の設計・実装はなんなんだよ!! ・・と追求したくもなる。(^^;)*12
この後、仕事場に持ち込んで実験*13。
いちおう、仕事場は鉄筋コンクリート造りの建物で、2階以上の窓ガラスには鉄線(?)が格子状に入っており、電波の遮蔽性能は高い。
ラジオを窓から数十cm突き出せばなんとか受信できるが、窓際では受信状況は悪化し、部屋の中へ入れて窓を閉めると、ほぼ無感という状況である。
この状態で、10m程度の電線を窓際に張り、ラジオに巻き付けて静電結合させるとなんとか聞こえるものの、周囲のノイズを盛大に拾ってしまうし、混変調の類も増える。
しかし、今回製作した同調型ループアンテナでは、窓から50cm程度の位置でも、かなり良好に受信することができたのであった。
この方式だと、簡単に受信位置を変えることができるので、ノイズの少ない置き場所も発見しやすいだろう。
さて、さいきん、地元紙の読者投稿欄に、能代市でのAMラジオの受信状況が悪いのではないか・・という話題がたびたび投稿されている。*14
これに対して、NHK秋田放送局が「調査したところ、決して悪くはない。AMラジオは雑音等に弱い等の性質もあり、個別に相談してもらえれば調査等 即対応する。」・・との回答を出している。*15
個人的には、もう数十年前から受信してきており、自宅での受信レベルは悪いというわけではないが、決して良くもない・・といった感じで、そりゃ市内に中継局ができてノー・ノイズ、ノー混信で聴くことができるならそれに越したことはないのだが、中継局を作らなくちゃならないほど悪いとは思ってはいない。*16
なまじ、大潟村のNHKラジオ第二放送が500kWと全国TOPレベルの送信電力で、第一放送との受信品質の差がきわめて大きく実感できるという状況の中、秋田市により近い本荘に中継局が存在するのはなぜかとかの疑問もあり、なんというか・・かんというか・・微妙なところではある。(^^;)
3月の大震災や停電で、AMラジオ放送*17の価値が見なおされてきているわけだが、NHKや総務省はどのように考えているのだろうか。*18
*1 販売店経由ということだが、通販だしなぁ・・
*2 中には、VX-3>VX-7>VX-8 ・・などという記事まである。
*3 基板を先に取り出してから底面のバーアンテナを外した方がいいかも。
*4 金属であり、導通があるが、アンテナ端子からは浮いている。
*5 もっと情報を!!
*6 通常、AMラジオはパイオニアのチューナ(F-D3)かアマチュア無線機(TS850等)で聴いている。
*7 しっかり測ってはいないのだが、VX-8の方が断面積が小さいかも。
*8 もちろんメニュ設定は「バーアンテナ+外部アンテナ」になっている。
*9 だいたいの大きさは、33cm×27cm×6cm
*10 昔買い置きしていたテフロン・テープ。実験だけだったら、普通のセロファンテープでも大丈夫だろう。
*11 2連のものを使っているが、片方のみ使用。
*12 もちろん、VX-8はアマチュア無線機であり、ラジオ機能はオマケである。しかし、AMラジオ受信可をうたうのであれば・・・
*13 VX-8でなく、別の小型ラジオを使った。
*14 9/25のマニアックな投稿はKPIではない。念のため。
*15 NHK受信相談窓口 TEL:0570-003434 ナビダイヤルなので、NHK秋田には直接つながらない可能性がある。(コールセンタ?)
*16 もちろん、アマチュア無線でノイズ/混信には慣れているわけで、一般の方々よりも「耐性」はあるのかもしれない。
*17 なんといっても、無電源のゲルマラジオで受信できる・・というのは大きい・・のでは?
*18 ここでは、「NHKネットラジオ らじる★らじる」のハナシは却下・・である。(^^;)・・うーむ、遅延4秒程度だな。
*19 NHKラジオのリスナとしては、ニッポン放送を退職なさった亀渕昭信さんの番組「にっぽん全国ラジオめぐり」(画期的!_!)や「渋谷アニメランド」(^^;)、「ラジオ深夜便」などをたまに聴いている。