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[Radio] TR-7010

2010年01月13日 01時 更新

年末の大掃除で、段ボール箱に入った TR-7010を発掘してしまった。

TR-7010とは、TRIO(現Kenwood)の144MHzSSB/CW機である。NET上でも、この無線機のネタは僅かしかないようなので、ちょっと書いてみよう。

TRIO TR-7010 + VFO-40

固定機としては既にTS-700があり、このRigは、Mobile向けとして設計されたと思われる。しかし、いったい誰がMobileでSSBをやるというのだ。*1
けっきょく このようなRigを入手しようというのは、KPIのようにカネのない輩ということになり、はっきりいって売れなかったのではないか・・(^^;)

そんなことはどーでもいいが、このRigの送信部終段は2SC1242A。よくあるFM10W機用のトランジスタだ。
しかし、Web上でも10Wとする記述が多いのだけれども、このRigの定格出力は10Wではない。なんと、中途半端な 8Wである。

購入当初、出力を測ったら9W程度しか出ず、なんかの間違いじゃないかと調べてみたら、取説にもちゃんと8Wと書いてあった。

まあ、内部の半固定ボリウムを回せば一応10Wは出るのだが、当時の安い石にAB級動作をさせSSBでしっかり10W出す・・というのは少し重荷だったのかもしれない。*2

TR-7010受信部 RFアンプの改造部分・・なんか、わけわからんな(^^;)

受信系については、Mixerあたりまでは、姉妹機といってもいいTR-7200Gなどとそっくりな構成になっている。

違うのはIFアンプ以降だ。SSB/CW機であるから当然だが、まずはAGCをかけなければいけない。
TS-700等の高級機の回路構成がどうなっていたかは判らないのだが、このRigでは内部のDC/DCコンバータによりマイナス電源を作り出しAGCに使用している。このため、AGC特性はかなり優秀だったのではないかと思われる。

しかしながら、このDC/DCコンバータ発振周波数のノイズがAFラインに漏れ、ヘッドフォンで聴くと気になる程度のレベルであることが玉に瑕だ。
「プーー」と聞こえるノイズをなんとか低減させようといろいろいじってみたのだが、気にならないレベルまで落とすことはできず、けっきょく諦めた。

受信感度については、そんなに悪くはなかったが、当時KPIはプリアンプの製作にハマっており、それが高じてRFアンプ部分を改造してある。

オリジナルの石は、確か3SK41*3だったと記憶しているが、これをUHF用の3SK70*4に変更。ただし、取り替えただけではドレイン電流が足りないので、第2ゲートだけではなく、第1ゲートにも+電圧を印加。

また、入力部のコイルはスズメッキ線とし、アンテナ端子から直列に入るコンデンサは、値の違うコンデンサを1PFきざみで取り替えて*5S/N最良値のものを使った。回路構成は、当時メジャーだったデュアルゲートMOSFETのよくある回路である。

ある程度感度Upして、ある問題に気がついた。
ノイズジェネレータと直接つながずにRigのアンテナ送受切り換え回路を通すとS/Nが落ちるのが判るのである。アンテナの送受切り換えはメカニカルなリレーではなく、高周波用のスイッチングダイオードが使われている。ダイオードの通過損失とか回路のインピーダンスの乱れによる問題なのではないかと思われるが、最終的には外部プリアンプを使うことにしてこのRig自体でのさらなる感度Upは諦めることとした。

さて、一緒に写っているVFO-40は、あとから入手したものだ。このVFOは、TR-7010のほか、430MHzFM機であるTR-8200につなぐこともできる。
さらに、TR-1300にも使えた・・ハズ・・と思ったのだが、VFO-40の取説にはTR-1300のことは何も書いていない。あれ? 本当に使えるんだっけ? 6倍高調波は大丈夫?*6

今回発掘された当初、VFO-40とRigを接続するコネクタ/ケーブルはほとんど断線した状態だったが、なんとか復旧させた。送信出力も10Wは出ているし、受信も特に問題ないようだ。てゆーか、ノイズブランカの効き具合は FT-726よりも断然良いことを確認している。(^_^)*7

*1 実際やってみれば、あまりやりたくないな・・と思う・・ハズ?

*2 その後、2SC2103とか、いろいろ試してもみたが、ゲインが足りないためドライヴ用の石も変更しないとNGのようだった。

*3 3SK41 NF=3dB @ 200MHz

*4 3SK70 NF=4dB @ 900MHz。この頃、3SK97等のGaAsFETまだ存在していなかった。

*5 それほどNFが良いわけでもないし、そこまでする必要はなかったと思う。

*6 VFO-40の原発振周波数は、8.2〜9.2MHz。

*7 しかしながら、VFO-40を使っても周波数上限が145.00MHzあたりなので衛星には使えない。

Tada/JA7KPI : 2010年01月10日(日)

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