自宅シャックでは、旧いSONYの音楽用ヘッドフォンを使っている。掛け心地もよく、中域の音質も好みに近い。
しかし、低域や高域のノイズやら混信の信号も良く聞こえてしまうのだ。無線通信用としては目的信号の了解度を低下させるファクタだし、長時間聞いていると疲れやすい音なのである。
AFフィルタの効果ってのはあまり信用していなかったKPIなのだが、とりあえず作ってみたところ、意外にも かなり効果があった。
回路図は右図のとおり。基本は、1/4波長π型である。
しかし、最初から計算式を立てて定数を決定したのではなく、「ジャンク箱を引っかき回したら1mHのインダクタが 2個出てきたのでコンデンサと組み合わせてテキトーにでっち上げた」というのが正解だ。
下の周波数特性のグラフは、テスト信号発生ソフト WaveGeneで作ったホワイトノイズ信号をPCのASIO-OUTから出力し、AFフィルタに入力。
フィルタの負荷抵抗として実際のヘッドフォンを接続してフィルタ出力をPCのオーディオ入力にブチ込み、それをオーディオ・スペクトラムアナライザ WaveSpectraで処理したものである。
最初のグラフは、回路図のスイッチがどちらも開いている状態である。
低域が少し落ちているのは、3.8μF*1のコンデンサと負荷抵抗とが相まってちょっとだけLOW-CUTが効いてるといったところ。もちろん、3.8μFをショートさせれば20Hzまでフラットになる。
高域は10kHz超までフラット。
2つ目のグラフは、SW 1のみを閉じた状態。
低域には変化はないが、おおよそ600Hz以上の周波数でゆるやかに下降しているといった感じ。
これだけでもヒスノイズには有効。
3つ目のグラフは、SW 1とSW 2の両方を閉じた状態。これでようやくフィルタらしくなった。
2kHz少し手前から それなりに急峻に下降が始まる。7kHzあたりにNullがあるような感じだが、部品の相性か??
CWフィルタで聞いていると、2と3の違いはほんのわずかだが、SSBフィルタではかなり効き、弱い信号の了解度が上がるという感じが強い。
右図がAFフィルタの現物である。水色の部品が1mHのインダクタ。ノイズフィルタかなんかに使われていたやつだ。黄色が1.5μF*2のフィルムコンデンサ。
こいつのキモはもちろんケース*3ではなく、スイッチだ。
このスイッチは、一見 普通の2回路2接点のスイッチなのだが、ポジションが3つある。
レバーをちょんと倒すと まずSW 1 がONになり、さらに倒すと*4 SW 1 はONのまま もう片方の SW 2もONになる・・というヘンなスイッチ*5*6なのである。このスイッチをなんとか実用品として使いたいと思っていたのだが、やっと実現した。
さておき、フィルタの特性としては、CW用に 1kHzカットオフにして2段構成にするのが良いのだろうが、現状の運用では ほぼ満足。
ただし、挿入損失が大きいので、ヘッドフォン専用であり、スピーカのラインには入れられないのがちょっと残念。
いつも移動運用で使っているのが、YAESUのヘッドフォン YH-55だ。
これにちょっとしたフィルタを付け加えているのだが、こいつの特性も知りたくなって測定してみた。
なお、黄色のコンデンサは1.5μFだが、もうひとつのコンデンサの値は不明である。
フィルタ自体は もう10年以上前に作ったもので、どんな回路だったかはスッパリ忘れていたため、配線をたどって回路をおこしてみたのが右の図である。
どうも、ノッチ・フィルタになっているようだが、なんでコイルにタップをとっているのかは忘却の彼方である。
なお、スピーカユニットは直列になっているので、負荷インピーダンスは16Ωだ。
これは、スイッチが開いている状態で、周波数特性は 並列の1.5μFが効いているのか10kHzあたりから下降しているものの、ほぼフラット。 *7
こちらがスイッチONの状態。やはりノッチ・フィルタの特性となっているが、ノッチの切れはあまり良くない。
とはいうものの、実際の運用では やはり間違いなくスイッチONの方が聞きやすくなっているのである。
*1 当初1.5μFだったが、実際に弱めの信号を聞くと、容量を増やした方が了解度が良かったため、3.8μFに増やしてみた。
*2 写真は1.5μFのままだが、現在はこれに2.3μFをパラに接続して3.8μFになっている。
*3 ヴァレンタイン義理チョコの容器(^^;)。
*4 写真の状態。
*5 なんでこんなスイッチがジャンク箱にあるのか・・謎である。おそらくこの謎は一生解けないであろう。
*6 てゆーか、大昔 間違って買ってしまって使わずじまいだった・・てのが正解だろう。たぶん。(^^;)
*7 300Hz付近の盛り上がりが何なのかは不明(^^;)。