衛星AO-7の29.4MHzダウンリンク用のインバーテドV(逆V)アンテナについての考察である。
例によって、MMANAを使ってシミュレイトしてみた。
受信のみで送信はしなくてもいいので、SWRはそんなに気にせずともいいことにする。気になるのは、ビームパタンやゲインだ。
クルマへの取付けは、車体右のちょっと後ろ寄りのルーフレール用アンテナ基台へセット。車体からの高さは約1.4m。
問題は、エレメント・ワイヤの引き回し。車体をまたぐようにワイヤを張った場合と、車体に平行に張った場合では如何なる違いが発現するのであろうか。
というわけで、メッシュ状のワイヤをテキトーにでっち上げ、これを車体とみなすことにした。
パジェロJRのサイズは 3500×1545×1660mm とのことだが、それを押しつぶした感じで、4m×2mのメッシュの板がリアルグラウンド上1.66mに浮かんでいるといったイメージである。実際、車体に沿って測定すると、車体の前後長は約4mである。
左図がMMANAによる 打ち上げ角=45度の計算結果だ。
X軸(0度)方向がクルマの前方となっていて、青が一番最初のクルマを跨ぐ張り方。赤がクルマと平行に張った場合である。
なお、参考としてローディング・ホイップの計算結果を緑で表示している。また、計算結果は、水平/垂直偏波の「合算」での表示である。
緑と青は、まあそれなりの値となっているが、赤の車体と平行のデータが突出している。右後方にビームが出ているわけだが、なんでこんなにゲインがあるのだ?? 青や緑より8dBも勝っているではないか。
右図は、打ち上げ角=8度のビームパタンである。低仰角でも、やはり車体と平行にエレメントを配した方がゲインがとれている。
当初は、なんじゃこりゃ??・・・だったが、下図の垂直面ビームパタン*1を見て、ようやく判った。
これは、車体が八木アンテナのリフレクタ(反射器)の役目をしているのだ。
車体長は4mで、29MHzの1/2波長である5.09mよりも短いのだが、車体の幅が2m程度あるためその分延長され、ほぼ1/2波長か若干長目になっているものと考えられる。つまり、2エレメント八木なのである。
というわけで、MMANAデータファイルである。
しかし、やっぱし、八木アンテナの威力はスゴイのであった。
2008/01/26 上記シミュレイション・・29MHz用逆Vのビームを検証するため、AOS15:55のAO-7にQRVした。
腰のケガも完治していないし、QRVの予定はなかったのだが、クルマと平行に張って右後ろへビームが出るとなると、無性に試してみたくなったのであった。
というわけで、なぜか藤里町 QN00DG*2である。シミュレーションどおり、MEL方向がクルマの右ちょっと後になるように停車。
AOS方向の東は山があり、ちょっと遅れてループがとれる。このパスはMEL(最大仰角)=9.1度という低仰角であったが、なんとか新潟のPVF局とQSO。
その後、CQ連発してみたものの、自己のループはなんとか追えているのにまったく呼ばれず。残念(T_T)。しかし、LOS時刻後1分以上追うことができた。ま、いいか。
昼飯喰って仕事場に寄り、その後16:56からのパス(MEL=24度)に八峰町QN00AGからQRV。周期の短いQSBが激しく、コールサインも断片化するほど。なんとか2局(PKU AXQ)とQSOできた。
次の衛星は初めてQRVするAO-16。なんでも元々パケット用だったのがパケット機能が停止してしまい、145MHzFMで受けて437MHzDSB*3で送信するアナログ衛星として蘇ったということだ。
AO-16の信号は割と強力*4であり、DSやUA局を含む多くの局の信号が受信できたものの、なぜか自分のUPLINKはなかなか通らず、ここでも1局のみのQSOとなった。
ところで、AO-16はクロスバンド&クロスモードQSOになるわけだけど、LOGやQSLには、なんて表示すりゃいいのかしらん??
*1 この図は、MMANAの「全ワイヤの回転」機能を使って最大輻射方向を合わせてある。
*2 04008C。積雪がスゴすぎて運用ポイントの選定に苦労した。
*3 USBでもLSBでも受信可。キャリア漏れもあるみたい。ちょっとゼロインしにくい。
*4 「割と」どころか、かなり強力。その後、自宅シャックのLDVからもQSOできた。