SL-HF3000の電源部修理

2004/03/25(木) VIDEOデッキ SL-HF3000といえば、SONYの Super-HiBand Beta Proだ。その昔、VHS対Betaという戦争があったが、画質的には、どう見てもBetaの勝ちであった。
それはさておき、長年愛用してきたこのSL-HF3000がついに壊れてしまったのである。

最近はDVDの台頭でVIDEOテープを観るということもめっきり減ってしまっているが、この手の機械というモノは電源を投入しない期間が長くなると、そのままお亡くなりになってしまうことも多いわけで、 たまには電源を入れてテープの早送り&巻き戻しだけをやらせていた。

しかし、久々に電源を入れたら・・というか、入れようとしたら、半分死んでるのである。
半身不随というか、パネルの右側のチューナや時計の表示は出て時刻設定などもできるが、左側のレベルメータ、電源スイッチのランプなどは点灯しない。
VIDEOの入出力をチェックすると、なんも出て来てない。ヘッドホンをつないでみても、ノイズすら聞こえない。音声入力をブチ込んでも反応無し。メカ部もまったく動かない。

「SL-HF3000」と「修理」で検索してみると、約70件がHITした。
電源関係がおかしいのではないかという感じがしたので、検索に「電源」を追加。これで約30件に絞る。

すると、まったく同じような症状で自前でIC交換して修理成功した方のページが見つかった。いやぁー、やっぱりいらっしゃるんですねぇ。
この機種やHF500、505、900などに使われているSTK-5441という電源用ICは、古くなって来ると壊れることで有名・・という情報をゲット。
(ちなみに、STKといえばSANYOのIC。NECのICだと書いてあるページがあったけど間違い)

早速バラしてみると、確かに電源レギュレータにSTK-5441が使われている。やはり、12Vの出力が出ていないようだ。 SL-HF3000電源ユニット

で、このICを交換すれば復活する可能性が大きいのではないかということになったのだが、電子部品の国内通販サイトを探してもSTK-5441は見つからない。やはりスイッチングレギュレータに圧され、シリーズレギュレータは消えゆく運命なのか。
日本語以外のページを検索すると、ロシアや中国方面では、まだ販売されているらしい。なんとか入手する方法はないのだろうか・・・

最悪、販売店経由で修理に出してしまうという手もあるが、修理を頼むと技術料の上乗せがあり、まず1万円は飛ぶだろうと考えられる。自前でやれば部品代程度で済むはずである。このサイトもネタに困らない。(^^;)
しかし、通販で取り寄せられないとなると・・・まてよ、SONYなら保守用部品としてストックしているのではないか? 壊れやすいICらしいし・・・

ということで、能代市内のSONY系の販売店を探してみたのだが、これが見つからない。
あー、昔はヨカッタなあ。出戸本町のイシカワ電器には通ったよなぁ・・・あの店のマニアなオヤジの顔(褒めているのである)は忘れられねーぜ。
デンコードーなんかの量販店に頼むのも面白くないしなあ・・・と思ってたら、某アサ氏から「ベスト電器」の情報をゲット。氏曰く「怪しい店」だそうだ。(^^;) ふーむ、興味深い。
「ベスト電器」で検索すると、いちおう能代店もヒット。ただし、直営店ではなく、フランチャイズのような形態らしい。位置は、後谷地。デンワランドのとなりのとなりである。

で、行ってみた。「修理専門店」とか表示されている。店構えは・・・確かに怪しいっ!!(^^;)
どう怪しいかというと、なんというか、これは実際に見てもらったほうがいい。あれで怪しくない・・・というヒトは、まずいないだろう。
(大昔、ウゴオンという店もあったが、あそこに迫る怪しさである)

店の前に車を停め、なかに入ると、修理中と思しきVIDEOが置いてある。そのそばで一昔以上前の電気屋のオヤジという風体のおっさんが煙草をすっている。
生意気にカウンタがあり、メガネの人生に疲れたような雰囲気のにーちゃんが座っている。

「あのー、部品を注文したいんですけどぉ・・・」
おどろいたことに、ハナシは何事もなくすんなり受け入れられ、発注伝票の項目がうまっていく。
「じゃ、入ったら電話連絡しますんで・・・」

はたしてICは無事届くのか、はたまた故障原因は間違いなくこのICなのか、さらに交換はうまくいくのか、そしてSL-HF3000は再びその勇姿を取り戻すことができるのか・・

2004/03/31(水) 20時過ぎに帰宅したら、ベスト電器から部品到着の連絡があったらしい。
中5日というのは、まあ、普通だろう。
今日はもう閉店だろうから、明日、受け取りに行って来よう。

2004/04/01(木) カバーのネジ4つを外してガワを取り去り、さらに5つのネジと基板のコネクタをいくつか外すと、後部パネル右側の電源ユニットをひきぬくことができる。

バラしたSL-HF3000 SL-HF3000は、SONYのBeta機としては後期の製品だが、このころのSONY製品は、ほとんどがメインテナンスを考慮した設計になっているのがうれしい。
もっとも、多くのユーザにはそんなことはどーでもいいことなのだろうが。

STK-5441は、アルミの放熱器にネジどめされていて、これも外すと、ようやくSTK-5441という型番を見ることができる。ブツは15ピンである。
故障の原因がSTK-5441ではない可能性もあるが、ここは思い切ってピンを全部ニッパで切断。

違っていたら、もう本体ごと修理に出すしかない。それに、ピン切断せずにハンダを溶かして基板のプリントパタンを傷つけたり、ハンダブリッジでショートさせてしまっては元も子もない。ここは、切断してピンを一本ずつ抜いた方が安全である。
例えば、他の回路に使えそうな半導体だったら、ピンを切断せずに何とか済ますことも考えるわけだが、今回はそういう局面ではない。

ピンを抜き終り、新品のIC(箱には、STK5441A MADE IN KOREA REP.と印刷されている。また、部品番号は 8-749-954-42 らしい)を基板に差し込んでハンダづけ。ハンダゴテはいつも即電源ONできる状態にしてある。
10年ほど前、50MHzや144MHzのリニアアンプ製作のために買ったシリコングリスをICに塗って、ネジどめ。
前回このシリコングリスを使ったのは、2GHzのペンティアム4実装時だ。

もとどおり組み立て、電源スイッチを押すと、「ガチッ」というリレーの音。
Hi-BandやBeta Hi-Fiのランプも点灯。テープを入れると、無事ローディングしてくれた。
けっきょく、見立てどおりSTK-5441の不良だったのである。

SL-HF3000

久々にBataでTHE SHAWSHANK REDEMPTION (ショーシャンクの空に) を観る。だいぶ前にNHK-BSから録画したものだ。
HF3000の放熱器は暖かいというよりは、熱い。こんなに熱かったのか・・と、いまさらながら・・(^^;)

さて、件のベスト電器には19時過ぎに行ってみた。
「こんばんわー、部品いただきにきましたぁ」と、入ると、メガネのおにーちゃんがそそくさと奥の別室(この別室も相当怪しい)へ姿を消し、すぐに小箱を持って戻って来た。
気になるお値段は・・なんと、部品代そのものといってもいい1,470円であった。
しかも、「直るといいですね」との一言もついて来たぞ。
すばらしいぞ、偉いぞ、見直したぞ(^^;)ベスト電器能代店!! さすが、修理専門店だっ!!
またへんな部品を注文しに行くかもしれんが、ヨロシク頼むぞっ!!


Video修理 番外編

友人の Victor HR-X3 の電源が入らなくなったということで、修理することにした。
ネットを検索してみると、スゴイ人がいるもので、同様な故障を自力修理しており、まったく一緒の原因と思えたのでマネしてやってみたのである。

けっきょくビンゴ!!で、電源ユニットの電解コンデンサ(C11 33μF 25V 105℃)の交換で正常動作に戻った。ただし、105℃などという高級品は手持ちが無かったので、85℃規格のものにした。(大丈夫か?)
外したC11は、テスタであたってみただけだと壊れているかどうかが判別できない。また、回路図もトレースしていないので、根本的な原因が判らないのだが、まぁ、いいでしょ、使えるし。(^^;)

なお、電源ユニットの取り出し等は比較的簡単にできるのだが、やはり初心者にはおすすめできない。バラシやハンダづけの練習をしてから、自己責任でね。


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