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[Radio] スローパーモドキ

2015年12月12日 11時 更新

しばらくの間、1.8MHzのアンテナをいじっていた。
最初は SWRが かなり良く、しかも広帯域で、タワー・ドライヴかと思いきや ぜんぜん飛ばず。いろいろ やってるうち、いつのまにか並のアンテナになったみたい。(^^;)

1.8MHz SORT-A-SLOPER (or SLOPEROID) Antenna over JA7KPI's SHACK

スローパーというと、普通はタワー・トップから斜めに約λ/4の電線を引き下ろしたものだが、当方のアンテナの給電点は タワーの ほぼ真ん中*1

給電用同軸ケーブルの片方をタワーのボルトに接続し、もう片方には被覆電線を接続してタワートップまで滑車で引き上げ*2、然る後に通常スローパーの如く斜めに引き下ろしている。
なぜ こうなったかというと、理由は単純明解*3。タワートップまで昇って作業するのが恐いからである。(^^;)

しかし、MMANAでのシミュレーションによれば、タワートップから給電するのも真ん中から給電するのも 指向性的にあまり違いはない。
ただ、ゲインは当方のスローパーモドキの方がわずかに良い計算結果が出ている。また、タワートップからの給電では、インピーダンスが50Ωよりも高めとなるようだ。*4


MMANA用のデータファイルは次のとおり。*5

MMANA data file
Sloper_home_B3A.maa ←適当にお使いください。*6

指向性については、スローパーは引き下ろしたエレメントの方向に出る・・ というのが一般的だが、このアンテナでは わずかに引き下ろしたエレメントの逆方向に出ている。*7

実際のアンテナでは エレメントの展張方向は 東南東なので、ビームは いちおう西北西方向に出ているハズ。まあ、ヨーロッパ方向に近い。*8

なお、シミュレーションでは FBなSWRになっているが、実際のSWRは 2.5程度*9と悪い。なぜSWRが落ちないのかと悩んだのだが、実際のタワーには、50MHz5エレ、ハイバンド3エレのケーブルに加え、ローテータのケーブル、そして仮設の1.8/3.5逆Vのケーブルも括り付けられていて、これらに電波が乗ってしまっているもよう。*10

各ケーブルにフェライト・パッチンコアを入れるとSWRが変化する。とりあえず手持ちのコアをすべて入れてみたが、ぜんぜん足りない状況である。1.8MHzと周波数が低いので、パッチンコアではなく 大進無線あたりのコモンモード・チョークの使用を検討した方が良いだろう。*11



というわけで、今朝(12月11日)も 05時JSTに起床して 1.8MHzをワッチしてたら、UR5ASが強力に入感。逆Vでも同程度のSだが、わずかにスローパーの方が良い。何度も(^^;)呼んで なんとか 599/559*12でQSO。これが1.8MHzでの初ウクライナ。*13

ところが、数分後に UR5IRMも入感。ちょっと弱くて とってもらえる自信がなかったのだが 同程度のパワーだったのだろうか、しっかり返ってきて 559/449(^^;)でQSO。
さらに10分後に UT7QFも入感し、かなり粘ってもらって 599/559で できた。ウクライナの皆さんに感謝!!*14 すべてこのスローパーでのQSOであった。*15


*1 地上高 約8m。当初の給電点は もっと下で、約5mだった。

*2 当初は、上には引き上げずに 自宅二階の外壁を ほぼ一周するという安直な設置方法だった。これではタワーに電流が あまり流れない。

*3 明快・・が正しい。ちなみに、明開は完全に誤用だが 吾妻ひでお世界では許されるらしい。

*4 タワーの接地抵抗にもよる。

*5 タワーの高さは 15m。給電点地上高は7.8m。そこから上に6.7m引き上げて、いわゆるスローパー部分の長さは 約30.8m。

*6 タワー接地抵抗は建設時の測定値= 11Ωとしているが、複数本のラジアルアースを埋めるとか、もう少しなんとかしたい。家屋の柱10本には 2KΩの接地抵抗を設定している。これが妥当かどうかは未検証。また、いちおうトタン屋根をシミュレートしているが、屋根を計算しない場合よりも純抵抗は高め、jXは + に動くようだ。2KΩの接地抵抗も損失として働き、ゲインが 1.5dBほど低下するっぽい。

*7 3.5MHz以上の周波数帯で使うと、指向性は 引き下ろしたエレメントの方向に出る。これは使用波長とタワーの長さ(高さ)との関係で決まるようだ。ウチのタワーは短い(低い)ので・・ また、エレメントは斜めに引き下ろさず、できるだけ水平に引っぱった方がゲインが稼げる。水平とはいかないまでも、直線的に引き下ろした方がゲインが高いのだが、現実のアンテナでは衛星用の145MHzビーム回転の邪魔になってしまうため緩く引っ張るしかなかった。(T_T)

*8 北北東-南南西の方向は ゲインが 1.5dB程度落ちる

*9 1.820MHz 1.910MHzともだいたい同じ。インピーダンス(の絶対値)は 30Ω程度。

*10 既存の逆Lやハイバンド用DPも極めて近接している。

*11 パッチンコアのインピーダンスは 1.8MHzでは 1個あたり約40Ω程度でしかないので、大量に(30個以上?)必要になる。それよりはトロイダルコアにケーブルを W1JR巻きした方がコスト・パフォーマンスが良いだろう。

*12 559はご祝儀RSTで、実際は339あたりだったものと思われる。(^^;)

*13 本スローパーでの 初Eu。

*14 他に呼ぶ局がほとんどいなかったのは単にラッキィだったのか? それとも そんなCONDXだったのか?

*15 06~07時JST、このアンテナで 7MHzにQRVし、LZや R1とQSOできている。こちらでは実際に339のRPTをもらった。(^^;)

Tada/JA7KPI : 2015年12月11日(金)

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