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[Audio] 突発性難聴

2015年01月22日 23時 更新

もう 5か月以上前のことになるが、突発性難聴を発症してしまった。
突発性難聴とは、突然 原因不明な感音性難聴が発症する疾患である。

左耳における低音域の聞こえが悪いということ、耳鳴り、耳閉塞感、音の濁り等の自覚症状がある。
少し詳しい病名では、急性(一側性)低音障害型感音難聴となるようだ。



2014年6月2日
起床後トイレで左耳の耳鳴りを自覚。小さく「ザーッ」というFMラジオの局間ノイズのようだ。 海鳴りのようにも聞こえる。それと、水泳で耳に水が入ったような感じ。
耳鳴りや耳閉塞感は いままでにも 感じることはあったが、今回はレベルが違う。

居間のTVをつけて右耳を塞ぐと、男性アナウンサの声がローカット・フィルタを通した如く低音成分が抜け、スカスカに聞こえる。ハードロックもバスドラムやベースの音がまったく聞こえない。*1

極めつけが、同じ音が左耳では右耳よりも音程が低く聞こえてしまう*2。また、ある程度大きい音が濁って・・というか 歪んで聞こえてしまう。
これらはかなり気持ち悪い症状で、どんな音楽を聴いてもチューニングが狂っているように*3聞こえてしまい、相当なストレスとなった。



翌2014年6月3日、近所の耳鼻科のある総合病院へ行く。今思えば、その日のうちに行くべきだった。*4
標準純音聴力検査を受ける。これは、125Hz 250Hz 500Hz 1000Hz 2000Hz 4000Hz 8000Hzのシングルトーン(Sin波)をヘッドホンで聴き、聞き取れる最小レベルをプロットするという耳の対周波数感度測定のようなものである。

結果、右耳との差は 125Hzで35dB、250Hzで25dBであった。

お薬はステロイド系のものを処方してもらった。



3日後の6月6日、1週間後の6月10日と通院。聴力は確実に回復しており、右耳との差は 125Hzで25dB、250Hzで10dBとなった。

音程の狂いはまだあるが、その影響範囲は500Hz~1700Hzと狭まった。

音の濁りや歪み*5の影響範囲は50Hz~700Hz。

また、特にコンプレッサが効いているようなTVの音声や、女性や子どもの高い声が、しいていえばクロスオーバー歪のような感じで響いて聞こえ、かなり気になる。この影響範囲は500Hz~1000Hz。

耳鳴りや耳閉塞感については、ほとんど変わりないものの、なんか慣れてしまったような感じ。困ったものである。



しかし、発症から半月後の6月17日、なぜか悪化。

右耳との差は 125Hzで30dB、250Hzと500Hzで20dB、1000Hzでも10dBとなってしまった。原因はまったく不明。

ここでメインのお薬をメニレット*6に変更。

音程の狂いの影響範囲は1000Hz~2500Hzと拡大。

音の濁りや歪みの影響範囲は300Hz~800Hz。響いて聞こえるのは800Hz~1500Hzという具合。

聞こえ具合は日毎に変化しているようで、1音半も高く聞こえたり、同じ周波数の音でも音量を増減させると音程が変化したり、もう何が何だか・・ orz

無線方面のハナシをすると、6月下旬には、通常700Hzに設定しているCWのトーンに680Hzの音がダブって聞こえたり、またある日は 700Hz 660Hz 440Hzの三声*7で聞こえ、信号が強力な場合は700Hzが支配的なのだが 弱くて低周波出力が小さな場合は440Hzが支配的になってしまったりで、もう鬱。



それでも、発症から1か月経過して7月に入ると、聞こえの具合は高い周波数から徐々に改善の傾向が見えてきた。

自前の耳感度検査

このグラフは、フリーソフト WaveGeneを用いてPCのオーディオ機能とヘッドフォン*8によりプロット*9したものである*10

病院でおこなう標準純音聴力検査は周波数ごとに補正されているが、このグラフは無補正であり、標準純音聴力検査との互換性はない。


右耳の周波数特性は11月6日の測定値のみ表示してあるが、6月の当初からほとんど変化がない*11
左耳は6月17日→7月3日→7月12日と確実に周波数特性が改善してきている。

しかし、実は8月19日の測定データもあり、問題は8月19日のデータとグラフに表示した11月6日のデータにはほとんど変化がない・・ つまり、8月から3か月経過しているにもかかわらず改善がみられないということなのである。

お薬はメニレットから別のものに変更することとなった。



それで、現在の周波数特性以外の症状はどうなのかというと・・

耳鳴り、閉塞感・・ 日によって変動するが、発症して5か月であり、ほぼ慣れてしまった。(^^;)

濁りや歪み、異常な響き・・ 300Hz~600Hzの周波数範囲でまだ気になるレベル。

音程の狂い・・ まだ左の方が低かったり高かったりすることはあるが、その差はわずかであり、シングルトーンでなければ気づかないレベル。音楽聴くのに支障はない。ギター弾いたり曲作ったりもしているので、マジこれが一番大きい。

ヘッドフォンで音楽聴くとベースやバスドラは右に寄って定位してしまうのだが、スピーカでは低域の指向性が曖昧になるためあまり気にはならない。音程についても、わずかの差であれば脳が補正してくれるようである。



というわけで、今でも毎食後 薬を飲み続けているが、突発性難聴は厚生労働省の特定疾患に指定されている難病であり、完治しない場合もあり得る。

治るとしても聴覚細胞や神経にかかわることであり、相当の期間を要することは想像に難くない。以前、前骨間神経麻痺という変な病気に罹ったときも完治まで丸4年かかった。まあ、気長にやっていくしかない・・と思う。それにしても、マトモに音楽が聴けるようになってホントによかった。

それから、ノイズの中で聞こえるか聞こえないかというレベルでは、信号強度の 1dBのUPは それなりに利くという実感があった。・・今後もがんばるぞ。

ハナシ変わって・・うーむ・・ 医療費控除適用になるかも??



2015.01.22 追記:

現在の左耳の周波数特性は、11月時点と比べると700~900Hzにおいて感度がUpし、右との差はなくなった。全体的に見ても右耳との差が埋まってきているようで、以前30dB以上の差があり11月時点でも27~28dBあった100~125Hzでの感度差は 23dBまで回復。*12

周波数特性以外では、耳鳴りはほぼ完全に解消。閉塞感については、あるかないかと問われれば「ある」・・という程度。

濁りや歪みについて気になる周波数範囲も、300Hz~600Hz → 400Hz~550Hzと若干狭まったように感じる。

あせらず、じっくり行こう。


*1 自転車に乗ったら、右耳で聞こえる風切り音が左ではまったく聞こえない。ものすごい違和感。

*2 ギターの6弦5フレットのAの音(110Hz)が半音下がったG#(103.83Hz)に聞こえる。100Hz~5000Hzという広帯域で音程が狂って聞こえていた。

*3 リング・モジュレータの使用法を誤っているみたいな・・

*4 秋田市の大学病院へ行くべきという声もある。普通の総合病院のお医者は、日常生活に支障がないレベルであれば あまり本気になってくれない。

*5 例をあげると、ギターの6弦5フレットのA(110Hz)を弾くと、5度上のE(164.81Hz)が重なっているように聞こえる。5度だけではなく、3弦2フレットのA(220Hz)を弾くと3度上のC#(277.18Hz)が重なっているように聞こえる。

*6 メニエール病の薬である。実は、母親が若い頃にこの病気に罹っている。なお、父親の方は50歳頃から高音障害型の難聴であった。

*7 ギターでも1音上と半音下が同時に聞こえたり。

*8 SONY MDR-Z900HD

*9 左右のレベルがそろっていたため、4000Hzを 0dBとした。

*10 グラフ自体は MS Excel。

*11 右耳、もちろん700Hzあたりは正常(^^)。300Hzにディップがある原因は不明(病院の検査でも125Hzより250Hzのほうが聞こえが悪い)。16000Hzは聞こえたり聞こえなかったり・・ 俺の耳の周波数特性は実はこうだったのか!! 衝撃の事実。(^^;) さぁ、キミも自分の耳の特性を測定してみよう!

*12 ただし右耳の感度が落ちているという可能性を現時点では完全否定できない。

Tada/JA7KPI : 2014年11月18日(火)

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