ZCR/bLOG


[Radio] ミニFM

2009年08月17日 01時 更新

月初めに ミニFM局が運用開始した。その名も「街中まん中ラジオ局」である。

運用形態としては、不定期放送だ。ただし、毎日曜日のお昼前後から15時過ぎあたりまでは電波が出ているみたい。

能代駅前 大栄百貨店 中央部の屋根にアンテナ。

久々の休み*1であり、ぶらりと街なかを自転車で走ってみたのだが、駅前で このミニFM局のアンテナを発見した。

いや、大栄百貨店に市民プラザってのができて、いろいろ面白そうなことをやってるってのは知ってたのだけれど、実際に行ってみたのはこの日が初めてなのであった。

実は、先週の日曜日、このFM局で某企画番組が組まれ、休日出勤していた仕事場で受信してみたのである。
番組自体は、非常に興味深いものであった*2が、その内容については当bLOGの守備範囲外であるため、書かない。

問題は、「どの程度マトモに受信できるか?」だった。

当該局のWebページにも記載があるが、このFM局は電波法や放送法で規定される「放送局」ではない。電波法的にいうと、微弱電波を使った無線局であり、免許云々は関係ない。*3

それでは、微弱電波とは、どの程度微弱な電波をいうのだろう。

その答えは 総務省 電波利用ホームページの「微弱無線局の規定」にちゃんとあり、それによると「電界強度が設備から3mの距離で500マイクロV/mよりも低い」こととされている。

3m離れて500マイクロV/mというと、空中線電力はいったい何Wくらいなのであろうか。
ちょっと計算してみたら、0.0000000457Wと出た。ざっと0.05マイクロWなのである。*4

アンテナの拡大写真。垂直偏波だ。

しかし、この微弱電波が送信アンテナから約750m離れたウチの仕事場でもほぼノー・ノイズで受信できているのだ。
受信機は、窓際に置いた某スタンダードのVX-8。アンテナは、約41cm長の145MHz用ホイップ。それだけではS/Nが稼げなかったので、イヤホンのコードをカウンタ・ポイズ風に接続した。
地図で確認したところ、送信アンテナ〜仕事場*5間には目立った障害物はない。

また、今日は自宅のFMチューナでも受信してみた。アンテナは軒下設置のフォールデド・ダイポールだ。これでも受信できるのである。距離は仕事場よりもちょっと近い。
生意気に(^^;)ステレオで放送していることが判ったが、ステレオ受信はちょっとつらい。モノラルにして狭帯域フィルタで受信しないとS/Nが稼げない。

さて、3mで500μV/mというのなら、750m離れれば電界は250分の1、つまり 2μV/mになる。一般的に市販されているFMラジオ等で、この電界強度の信号を受信できるのだろうか。

受信アンテナの利得をゼロdBとし、周波数79.8MHz、電界強度2μV/m、受信機の入力インピーダンス50Ωということで計算すると、受信機のアンテナ端子の電圧は約0.77μVとなった。

取説によれば、VX-8のFM放送帯における受信感度は、1.5μV@12dB SINAD となっている。計算結果は、この値よりも低いが、なんとか受信可能なのではないかとも思われるレベルだ。
しかしながら、1km超の距離では、高利得の多素子八木アンテナ*6などを使わないとおそらく受信困難だろう。

というわけで、微弱電波といえども、外部アンテナを使用したり、高台で受信することでなんとか良好に受信することは可能であることが判った。

しかし、受信機付属の短いアンテナでの受信状況はきわめて悪く、至近距離まで近づかないと良好には受信できない。歩道を歩きながら受信してみたが、うたい文句どおり100m以内じゃないとちょっとキビしい。
79.8MHzというと、波長は約3.76m。1/4波長として90cm程度の長さが必要だ。

さて、いまのところ戦略的には成功しているように見えるミニFMだが、 コミュニティFM等に昇格させることなどは考えているのだろうか。シフトのタイミングは大事だと思うのだが・・・


*1 てゆーか、しばらく休日出勤が続き、来週以降も多忙のため、ここらで中休みしておかないと体力/精神力とも保たないのだ。

*2 ツッコミどころも満載だったけどね(^^;) さておき、M氏の名パーソナリティぶりにもビックリ。プロ並みじゃん。

*3 電波利用料も納付しなくていいし、放送局としての義務とも無縁である。

*4 出力電力による規定ではなく、電界強度による規定なのがミソ。利得のあるアンテナは無意味。

*5 ちょっと高台にある。

*6 写真でわかるとおり、アンテナが垂直なので、一般的な水平偏波の八木を使っても効果的ではない可能性あり。

Tada/JA7KPI : 2009年08月17日(月)

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