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[SF] 太陽の簒奪者

2008年10月27日 19時 更新

学生時代は、小松左京、筒井康隆、平井和正あたりをかなり読んだものだったが、ここ10年くらいは SFの読者ではなく、どちらかといえばたまに探偵小説や恐怖小説を読むくらいだった。まともなSFというと、堀晃/太陽風交点あたりまでさかのぼらなければならない。

そういうKPIが、久々に読んだSF。それが 野尻抱介/太陽の簒奪者である。

The Sun Usurper - Book Cover

この作品は、いわゆる「ファースト・コンタクト」テーマ。と、書けばなんとなく静かなSFみたいにも錯覚してしまうが、宇宙空間での戦闘シーンもしっかり配置されている。SFファンが選定する「星雲賞」を受賞していて、ネット上にも解説/評論/感想が多くUPされている。

KPIの評価基準では、「すべて許す」というのがある。例えば、映画なら「エイリアン2」「ローレライ」。アニメの「プラネテス」なんかがこのランクになる。しかし実は、「すべて許す」の上には「まいりました」というランクがあり、「太陽の簒奪者」は正にこれに該当する素晴らしい作品なのであった。なんといっても、「からくり」・・メカニズムがよくできているし、その裏に高次の意識体が出てくるのもいいなぁ。

KPIは、これを約7時間で読んだが、泣ける場面も3回くらい出てくる。まさか、ハードSFでこれだけ泣けるとはなぁ・・・

さて、ひとつだけツッコミを書いてみると、こいつとあいつは、プロトコルはさておき、いったいどのようなルートで通信していたのだろう?? 作者は、現役のアマチュア無線家であり、またネットにも明るいハズ(?)だが、このコミュニケイションについての描写はほとんど無いに等しい。これだけが気がかりなのだが、ま、いいか。

追記: 読み返してみて気づいた。すいません。通信ルートについては、しっかり記述がある。ファランクスのどこかからレーザで通信している。地球にいたときから通信していたように錯覚していた。

こいつとあいつは、物語の終盤になってようやくコミュニケイションし始めるのだが、こいつは地球でのことも記憶していた。こいつとあいつが半ば融合する中で、記憶も共有されることになり、初めから通信していたかのように錯覚してしまったのである。

太陽の簒奪者 (ハヤカワJA)
野尻 抱介
早川書房
¥1


さて、野尻抱介といえば、ここ秋田県では「ロケットガール」である。(ホントかよ ^^;)

いやー、太陽の簒奪者とロケットガールが同一作者ってのは知っていたのだが、やはり「簒奪(さんだつ)」って漢字にはビビりますぜ。これでなんとなく難解っぽく、読みにくいイメージが増幅されていたわけですな。

もっとも、KPIなどのいわゆるおじさん読者には、ロケットガールの方が読みにくい・・・というか買いにくいのだけれど。(富士見ファンタジア文庫だもんな。通販がオススメ。「太陽の簒奪者」は、ハヤカワ文庫)

女子高生、リフトオフ!―ロケットガール〈1〉 (富士見ファンタジア文庫)
野尻 抱介
富士見書房
¥251

ロケットガールの話になったところで、能代宇宙イベントのハナシに強引にもっていくが、最近は のしろケットちゃん などというキャラも発生してしまっているようである。

Tada/JA7KPI : 2007年02月03日(土)
コメント(2) [コメントを投稿する]
Tada 2007年02月21日(水) 21時

ちなみに、TVアニメ「ロケットガール」は、2/22 00:00、WOWOWにてノン・スクランブル放送されます。・・・って、今夜ですが。<br>原作は、とてもおもしろかったです。(^_^;)

Tada 2007年02月25日(日) 21時

録画に失敗してしまった・・・が、観ました。<br>原作者の色紙が中華食堂に飾ってあったのは確認。(^_^)<br>既にまとめWikiもできてるようである。<br>http://www19.atwiki.jp/rocketgirl/


«自宅ロケイション etc. 最新 FreeBSD Version Up»
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