JARL Field Day Contest 2004
including data of former FieldDay

JA7KPI/7の50MHz移動用アンテナといえば、8エレ八木である。ブーム長は9m以上あり、普通、こんなバカでかいアンテナで移動なんてことは誰もやらない(やってるけど)だろう。 しかし、あえて・・・と、8エレを使ってきたのだが、今回は・・・
ずががががーーーーんっ!! (^^;)
あろうことか
エレメントを忘れて来てしまった!!
のである。 (♪ウルトラQのテーマ)

6mでのフィールドデイ・コンテスト参加は今年が9年目。昨年は移動地マンネリ化打破のため二ツ井町へ移動したが、今年は無線の神様にアンテナのマンネリ化を阻止されてしまった。(神様はずいぶん前にお亡くなりになっているので、神様のせいにしてはいけません)

もう、今年は1エリアはいいや、北海道メインで行こう・・てことで、今年の移動地は、田代町十ノ瀬山。自宅から1時間半くらいである。
16:00にコンビニを出発、現地到着してマストの垂直出しを終わり、ブームを降ろしたところでエレメントが無いことに気づいた。あれ? まさかこの私がアンテナを忘れるなんて・・・ 夢じゃ、夢でござる!!・・ このとき、17:45。

アンテナがなければ、どーしよーもない。とにかくアンテナをGETしなければ。マストとブームを積み直し、下山開始。
今から戻ると19時半か・・近場の幟山あたりなら21時のコンテスト開始に間に合うかな・・日没時刻は完璧に過ぎるな・・あーあ、ホームページに田代町移動って書いちゃったしなぁ・・
とかなんとか愚痴りながら数百メートル下ったところで、ハッ・・と気がついた。

まてよ、ラディエータはあるし、去年の6&Downで、リフレクタとディレクタ1本は別に用意してブームの中に入れてあるではないか。つまり、3エレであれば即席にデッチあげることができるのではないか!?

しかし、そう巧くいくか?? ビームはなんとか出るにしても、SWRはどうだ? つないではみたものの、SWRが高くて終段保護回路が働き、パワーが出ないということも十分考えられるではないか。いや、むしろその確率が高い。八木アンテナはデリケートなアンテナやぞ。エレメント数、エレメント・スペーシングそしてエレメント長、相互に影響しあって特性が決定されるのやおまへんか。

だが私は、3エレ八木をデッチあげる誘惑に打ち勝てなかった。これは仕事ではない。
神は死んだ。故に神が私に与えた試練でもない。アマチュア無線にマンネリなどあってはならないのである。なぜなら、それがアマチュア無線だからだ。 (意を汲んでください)
18:05 狭い山道、切り返して再び山頂へ向かった。 (♪ウルトラ警備隊のテーマ)

あっという間にできあがった3エレ八木-宇田アンテナは、図のようなものである。

3エレ八木-宇田ディレクタ位置がオリジナル8エレよりも6cmほど離れているのは、なんとなくもう少し離した方がいいように思えたからだ。根拠は、とりあえず、ない。
リフレクタの位置やラディエータについては、オリジナルの8エレのままである。

この3エレ、あたり前だが軽い。片手で持てる。クロスマウントをラディエータの前に付け、地上高9.4mまでフルアップ。おぉ、このマストをフルアップしたなんて、何年ぶりだ!?

SWRを測ってみると、なんと、1.7くらい。回転させてみる。おおっ! ちゃんと切れる。奇跡だ! 3エレ八木-宇田 ビームパターン しかも、F/B比もかなり良さそうな雰囲気。福島と新潟のビーコンもいちおう聞こえる。よしっ! すべて許すぞ。

ちなみに、MMANAでの計算結果は、ゲイン:12.94dBi F/B比:19.4dB SWR:1.92 と出た。
気になるゲインは、8エレと比べると約5dB落ちている。これはかなり痛いところだが仕方がない。
(アタリマエだが、8エレとして完成しているアンテナを無理矢理3エレにしたのであるから、問題ない特性が得られるという保証は当然ない。通常は使い物にならないと思った方がいいような気はする。しかし、何事もやってみなければ判らないのである)


というわけで、またもや前置きが長かったわけだが、21:00のコンテスト開始である。
開始30分では、7と0エリアのみ。21:30を過ぎて1エリアと四国が2局ずつとれるが、初っぱなの1時間で20局に届かない・・って、いつも同じこと書いてるなぁ。
しかし、22時台に入ってEsが発生。このEsは23時まで続き、1分1局程度のペースを確保できたのである。最初は1エリアから呼ばれ、次は3エリアに移り、その後は2,3,4,5,9エリアがごちゃ混ぜになっていた。こんなのは初めてである。ただし、なぜか6エリアからは呼ばれず。普段とは違うCONDXのようだ。

23時台になると、Es性の伝搬はなくなった。ここでアンテナを北向きにし、北海道マルチを4個ゲット。思ったより8の局が少ないみたい。00時以降はアンテナをぐるぐる回し(3エレなので、片手で、しかも助手席から後ろに手を伸ばしてクルマを降りずに回せるのである。これはオイシイ)、SSBとCWを行ったり来たりして局を探す。なかなか見つからないなぁ・・

悶々としてたら、いつのまにか01:30だ。第1ラウンド終了で97局39マルチ。これはひょっとして新記録? でもなぁ、問題は朝のCONDXだよなぁ・・というところで寝ることにした。目覚まし時計をセット。

04:30起床。おぉ、JE1BMJ/1が聞こえる。6&Downでは自宅で聞こえたら呼びますね・・なんてメイルしておきながら仕事の疲れで早々と寝てしまった(というか、その日が6&Downだということにさえ気づいていなかった)ので、借りを返さないと・・でも、カスカスの上にフラッタを伴っている。FAIかとも思ったが、アンテナを振ってみると、ダイレクトが一番いいようだ。
しかし、何回か呼んでみたが全く取ってもらえない。トトツーツートトさえ返ってこず、そのうちフェイドアウトしてしまった。アンテナが8エレだったら、おそらくは取ってもらえたのではなかろうか・・・この手の伝搬ではやはりゲインが欲しい。

朝方のCONDXは特に目立ったところはなく、いつもとほぼ同じく1と7中心。時たま4や5ができる程度。08:30頃、沖縄が聞こえ、Es爆発に期待をかける。なにしろ、今回は九州のマルチがかなり残っているのである。

Time212223000102030405060708091011121314Total
FD0415641071001599101295545171
924411000211200020148
FD031576644007456115441190
102231100212210000128
FD02171312820000671262021424125
123111000001010008634
FD01212411989001715151719193221118256
106370400035241110047
FD002621138500071188766510132
2011102000120310200043
FD993021141163004871161167510160
175252200001203011344
FD9814117500027717612224179131
94510000200420505037
FD97301912122006161367863676159
92350001120000000023
FD963725121311920001167313520165
191302100000010101938

09:30になって再び九州が開けるが、けっきょく41,45,46のマルチは逃してしまった。WAJAにはこのほかに21も足りなかった。また、JE1BMJとは10時過ぎにようやくできた。

05,13,19も、なかなかできなかったが、12:30以後になってようやく捕まえた。昔から局数よりもマルチ重視の傾向があるKPIなのである。Es爆発があってもマルチ探しに時間を取られ、局数が伸びずに入賞を逸したことも。
1エリアの局数については、やはり内陸に位置する十ノ瀬山ということでいつもより少なかったものの、Es性の伝搬で数局できたおかげで同じ移動場所である99年のFDよりは多くなった。そうそう、CWでのQSOは39局であった。

というわけで、終わってみれば夜22時台の爆発のおかげでマルチの出来高はFDでは過去最高となったのである (ついでに、全エリア10局以上というのも初めてだ)。たった1時間とはいえ、あの爆発がなければ今回も平凡、マンネリなFDとなってしまっていただろう。

Area1234567890total移動地
FD0423132014111334131119171田代町
FD0327312162984990二ツ井町
FD0258316816182211125八森町
FD01562220291542376821256男鹿市
FD0042637311297618132能代市
FD99143111444642926160田代町
FD984042612934456131男鹿市
FD9759101000602621159阿仁町
FD9653962212413829165峰浜村

しかしまてよ。今回のアンテナは3エレではないか。確かに力不足を感じた局面もあったが、電波伝搬の不安定の度合いはゲイン差の5dBをはるかに超えているのではないか。そこらへんは運用テクニックでカバー可能なのでは? いや、3エレとまで落とさなくても6エレくらいの能力があれば、実質的に何の問題も無いのかもしれんわなぁ・・・つまるところ、8エレにこだわっていたKPIは一種の袋小路に落ち込んでいたのかも・・・

よくよく考えてみると、「Esが開けない限り入賞は無理」なんて自分で書いてるくせに、アンテナは、いつもの8エレ、今回の3エレともに「Es向き」とはいえないのであった。
Esは地表から100km程度の高さに出現するが、出現場所が 北 東北と1エリア(関東地方)の中間地点だったとしよう。その場合の打ち上げ角(仰角)は何度かというと、約20度なのである。
(もちろん、20度なんていうデカい角度でEsにVHFの電波が突入した場合、突き抜けてしまう確率が高いわけだが、実際に北関東とEsでQSOできる場合もあるし、そこは高密度なEsということで勘弁してもらう)

しかし、垂直方向のビームパタンを見てもらえれば判ると思うのだが、いつもの8エレ、今回の3エレともに20度方向には NULL があるんだな、これが。相手方が大阪だとすると仰角は14度くらいか。それにしたって同じようなものである。
つまり、Esをうまく使って強力な信号を送り込む(=ドッグパイルでウハウハ状態になる)には、仰角=15度〜20度方面に電波を出さなければならんのである。
第2ローブが30度あたりにあるが、VHFではこの方向への放射はぜんぜん有効ではないはずだ。(・・・はずだ・・と書いたものの、本当にそうかは未検証。もしかして有効な局面があるかも?? ちなみに、30度方向のゲインは8エレよりも3エレの方が高い)

それでは、アンテナの打ち上げ角をコントロールするにはどうしたらいいか。もちろん、仰角ローテータでブン回すという手もあるが、簡単なのはアンテナの高さを変えることである。
地上高8〜10mというと打ち上げ角は9〜10度であり、対流圏伝搬やDX用としてはいいかもしれないがEs用としては低すぎる。(対流圏は高さ10kmくらいまで、また、1,000km先のF2層への仰角は10度程度である)
じゃ、どーすればいいかというと、アンテナの地上高を5〜6mにすればEs向きの打ち上げ角が得られるのである。

もちろん、移動運用では山の頂上とかにアンテナを立てるわけだから、地上高はもうちょい低い方がいいかもしれない。逆に住宅地であるならば、囲りの家はたいてい同じく二階建てで高さ7mくらいはあるので、それから5mくらい上げればEs向きといえるだろう。(それが普通か)

そうか、そうだよなぁ。Esが出て、CQ作戦に出てもイマイチ呼ばれない・・というのは、こっちの打ち上げ角が低すぎて強力な信号を送り込めなかったからなのか・・とすると、Es発生を確認したら、すかさずアンテナを低くしてCQ作戦か、いや、高低2基のアンテナを用意して切り換えるという手もある。実際やってる局もいるんだろうなぁ。(いますね ^^;)
Esがまったく出ないなんてこともあるし (その方が多い)、その場合はやっぱり高いアンテナが必要だから、簡単に打ち上げ角を変化させるシステムが必要だよなぁ・・・8エレじゃあ重くて何度も上げ下げできんわなぁ。それに、某局なんかはサイド方向のアンテナと同相給電してサイドの取りこぼしを抑えているというし・・・うーむ・・・・うーむ・・・ぶつぶつ・・・


さあ、次の移動用アンテナはいったい何になるのか、4エレか、7エレか、はたまたヘンテナか? そして、JA7KPIは電波伝搬とビームパタンの謎を解いて入賞することができるのか? (できんわな・・・・ん? ♪怪奇大作戦のエンディングテーマ SRIのところをKPIにしてね)

恒例の虫刺され箇所は15箇所。ほとんどが短パンでの作業中にアブにやられたものである。だから山で短パンはやめろって。とにかく、十ノ瀬山はアブが多いのであった。


東北2位 マルチだけなら全国1位?? (^^;) みなさん、ありがとう
※1位はJE7NZB/7で、福島県の局。やはり特大のEs爆発が無ければ、局数ではどうしても南東北に勝てないようであります。
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