確かに押井守監督作品ではある。
しかし、いまのところ、この作品が成功作であるとは考えられない。
すばらしい映像もたくさん入っているし、ドードー巡りの悪夢もまた楽し。こいつがスゴイ作品であることは間違いがない。
間違いはないのだけれども、映画に対しては、やはり「ものがたり」を期待してしまうのである。これならば、チープな映像ではあるが、「AVALON」の方が数段期待に添った作品といえる。
今回の作品は、「天使のたまご」に非常に近いものなのかもしれない。もちろん、「天使のたまご」が好きだし、つまりこの作品も好きなのではあるが。
ただ唯一気に入らない点をあげるとすれば、それは、例の彼女(まだ女・・といえるのか?)の再登場であり、それ自体がこの作品の「ものがたり」たることを破壊しているのではないか・・ということなのである。これだけは、どうにも計算が合わない・・・といった感がぬぐえない。